【2024】Blenderでの髪の毛の作り方は?モデリングの方法をわかりやすく解説


by Render Pool

11月 29, 2024

「Blenderで髪の毛を作りたいけど、どうやって始めればいい?」 「リアルな髪の毛を表現するコツを知りたい!」 と考えていませんか?今回は、髪の毛のモデリングの基礎的な方法やリアルな質感を表現するためのテクニック、よくあるトラブルとその解決策などについて解説します。

この記事を最後まで読むことで、Blenderで魅力的な髪の毛を作成できるようになります。プロ級の仕上がりを目指せるはずです。 ぜひ参考にしてみてください。

Blenderで髪の毛をモデリングする方法

Blenderで髪の毛をモデリングする方法は3つあります。

  • パーティクルシステムを活用して髪の毛を生成する
  • カーブを使用して髪の毛を作成する
  • ポリゴンメッシュで髪の毛を表現する

パーティクルシステムを活用して髪の毛を生成する

Blenderのパーティクルシステムを使えば、リアルな髪の毛を簡単に作成できます。頭部のメッシュを選択し、パーティクルシステムを追加するだけで、自然な髪の毛の生成が可能です。

パーティクルシステムを活用して髪の毛を生成する

パーティクルシステムでは、髪の毛の長さ、密度、カール具合などを自由に調整できます。たとえば、髪の毛の生え際を調整したい場合は、頭部メッシュの「ウェイトペイント」モードで生える場所を指定します。カール具合を変更したい時は、「パーティクル編集」モードで個々の髪の毛を調整可能です。

パーティクル編集

注意点として、髪の毛の本数が多すぎると処理が重くなります。まずは適度な本数から始めて、必要に応じて増やすことをおすすめします。また、髪の毛のテクスチャや光沢感を調整することで、よりリアルな見た目を実現できます。

カーブを使用して髪の毛を作成する

カーブを使用した髪の毛の作成は、細部までこだわった表現が可能です。

まず、Add > Curve > Bezier Curveを選択して基本となるカーブを作成します。このカーブが髪の毛の基本的な流れを決定づけます。

カーブを使用して髪の毛を作成する

次に、カーブの形状を調整していきます。編集モードで制御点を追加し、ハンドルを操作することで、なめらかなカーブを作ります。

カーブの形状を調整

右側のプロパティパネルでジオメトリセクションの「Bevel」の値を調整すると、カーブに厚みを持たせることができます。

髪の毛の質感を出すために、マテリアルの設定も重要です。シェーダーエディターで新規マテリアルを作成し、Principled BSFDノードの「Roughness」を0.3程度に設定することで、適度な艶を表現可能です。

シェーダーエディターで新規マテリアルを作成

カーブを複製(Shift+D)して位置をずらすことで、ボリュームのある髪の毛を表現できます。レイヤー状に配置することで、自然な重なりも表現可能です。

複製したカーブは、Array ModifierやCurve Modifierを使用することで、効率的に作成できます。

ポリゴンメッシュで髪の毛を表現する

まず、平面(Plane)を作成し、これを髪の毛の基礎として使用します。Subdivide(細分化)で分割を加え、髪の毛の基本的な形状を作ります。 モデリングの具体的な手順は以下の通りです。

  • 編集モードでエッジを選択
  • 押し出しで髪の毛の流れに沿って形状を作る
  • Proportional Editingをオンにする
  • 平面を複製して少しずつずらして配置
  • Solidify Modifierを適用し、髪の毛に厚みをつける
  • Edge Split Modifierで髪の毛の輪郭をシャープにする

ポリゴンメッシュによる髪の毛作成は、編集の自由度が高く、パフォーマンスを重視する場合に特に有効です。

基本的なモデリングスキルがあれば、オリジナリティのある髪型を効率的に作成できます。

各手法のメリットとデメリットを理解する

上記で紹介したように、Blenderでの髪の毛のモデリングには、大きく3つの手法があります。それぞれの特徴を理解することで、プロジェクトに最適な手法を選択できます。

手法 メリット デメリット 最適な用途
パーティクルシステム ・自然な髪の毛の動きを表現可能

・大量の髪の毛を自動生成できる

・物理演算との相性が良い

・レンダリング時間が長い

・細かな形状コントロールが難しい

・処理が重くなりやすい

・リアルな人物モデル

・写実的な表現

・アニメーション作品

カーブ ・形状の細かなコントロールが可能

・編集が直感的

・データが軽量

・大量の髪の毛の作成に時間がかかる

・物理演算との相性があまり良くない

・自然な動きの表現が難しい

・アニメ調の髪型

・スタイリッシュな表現

・静止画作品

ポリゴンメッシュ ・リアルタイム処理に適している

・UV編集が容易

・モディファイアとの相性が良い

・自然な動きの表現が難しい

・大量の髪の毛の作成が手間

・ファイルサイズが大きくなりやすい

・ゲームキャラクター

・ローポリモデル

メリット・デメリットを理解し、最適な手法を活用しましょう。また、複数の手法を組み合わせることで、より効果的な表現も可能です。たとえば、主要な髪の毛をカーブで作成し、細かい産毛をパーティクルシステムで表現するといった方法があります。

Blenderでリアルな髪の毛を表現するためのポイント

続いて、Blenderでリアルな髪の毛を表現するためのポイントを4つ解説します。

  • 適切なテクスチャマッピングを設定する
  • ライティングで髪の艶を表現する
  • シェーディングノードを効果的に活用する
  • 物理ベースのマテリアルを設定する

これらのポイントを意識することでよりリアルな質感の髪の毛を制作できるでしょう。

適切なテクスチャマッピングを設定する

髪の毛のリアルな質感を表現するには、適切なテクスチャマッピングの設定が不可欠です。主に、次のポイントを意識すると質感を高められます。

  • ディフューズマップを設定する
  • スペキュラーマップで光を調整する
  • 髪の生え際から毛先にかけて徐々にアルファ値を変化させる
  • バンプマップを活用して髪の毛の立体感を強調する

非常に専門的な内容ではありますが、ノードに触れていると少しずつリアルになっていきますので、何度も作業を繰り返し、求めている髪の毛の質感を目指してみてください。

ライティングで髪の艶を表現する

髪の艶感を魅力的に表現するには、適切なライティング設定が重要です。次のようなポイントを意識すると髪の毛の艶の質感を高めていくことが可能です。

ライトの種類 配置位置 設定のポイント 効果
キーライト 正面やや上方 ・強度:中程度

・カラー:自然な髪の色に近いトーン

・全体的な明るさの基準

・基本的な陰影の形成

バックライト 被写体の後方 ・強度:髪の色より20~30%明るめ

・カラー:やや白みがかったトーン

・リムライトの生成

・立体感の強調

・艶感の演出

フィルライト(補助光) メイン光の反対側 ・強度:キーライトの30~40%程度

・カラー:キーライトより少し冷ため

・暗部の補正

・自然な光の回り込み

シェーディングノードを効果的に活用する

リアルな髪の質感を表現するには、シェーディングノードの適切な設定が不可欠です。基本となるPrincipled BSDFノードを中心に、各パラメータを調整していきます。特に重要なのは、Roughness(粗さ)とSpecular(反射強度)の設定です。

シェーディングノードを効果的に活用する

パラメータ名 推奨設定値 効果
Base Color 髪の基本色 髪の色味の基準となる
Roughness 0.2-0.4 髪の艶感を調整
Specular 0.4-0.6 ハイライトの強さを制御
Anisotropic 0.8-1.0 髪特有の方向性のある反射
Subsurface 0.1-0.2 半透明感の演出

これらの調整に加え、テクスチャマッピングと組み合わせることで、よりリアルな髪の表現を実現できます。

物理ベースのマテリアルを設定する

物理ベースのマテリアル設定は、髪の自然な光の反射や透過を実現する鍵となります。Principled Hair BSDFを使用することで、科学的に正確な髪の表現が可能になります。

髪質タイプ Melanin Roughness Azimuthal Roughness
ストレート 0.3-0.5 0.2-0.3 0.8-0.9
ウェーブ 0.4-0.6 0.3-0.4 0.7-0.8
カール 0.5-0.7 0.4-0.5 0.6-0.7

マテリアルの設定では、Melanin(メラニン)値を調整して髪の色の深みを表現し、Roughnessで表面の粗さを制御します。

さらに、Azimuthal Roughnessを適切に設定することで、髪の毛特有の異方性反射を実現できます。これらのパラメータを組み合わせることで、自然で説得力のある髪の表現が可能になります。

Blenderで髪の毛のアニメーションを設定する方法

Blenderで髪の毛のアニメーションを設定する方法は4つあります。

  • パーティクルの動きをコントロールする
  • 風の影響を自然に表現する
  • キャラクターの動きに合わせて髪を動かす
  • コリジョン(衝突)設定を適切に行う

パーティクルの動きをコントロールする

風の影響を追加するためにWindフォースフィールドを配置し、さらにTurbulenceで細かな揺らぎを演出します。

  • キーフレームは少なめに打つ
  • グラフエディタで急激な変化を避ける
  • プレビュー再生で動きを確認しながら調整

このあたりのポイントを意識することで、自然で魅力的な髪の動きを実現できます。パラメータを少しずつ調整していくことがポイントです。急激な変化を避け、なめらかな動きを心がけましょう。

風の影響を自然に表現する

以下のポイントを意識して自然に風の影響を表現するのも一つの方法です。

設定手順 詳細設定 効果
1. パーティクルシステムの追加 モディファイアパネルから「パーティクル」を選択 髪の毛の基本構造を作成
2. 物理演算の設定 「Physics」タブで「Hair dynamics」をオン 髪の毛が物理法則に従って動く
3. 風力場の配置 Force Fieldを追加し「Wind」を選択 風の方向と強さを設定
4. 剛性の調整 Stiffnessパラメータを0.5-2.0の間で調整 髪の毛のしなやかさを制御
5. 減衰の設定 Dampingを0.2-0.5の間で設定 髪の揺れの収束速度を調整

このように設定することで、風になびく自然な髪の動きを表現できます。風の強さと方向を調整することで、そよ風から強風まで様々な表現が可能です。キャラクターの動きに合わせて風の強さを変化させることで、よりダイナミックなアニメーションを作成できます。

キャラクターの動きに合わせて髪を動かす

キャラクターの動きに合わせて髪を動かすには、まずキャラクターの頭部にParticle Systemを追加します。

次に、Physics PropertiesからClothを選択し、Quality Stepsを10程度に設定します。これにより自然な揺れ方が実現できます。

髪の毛の根元部分は動きを抑制したいため、Vertex Groupで重み付けを行います。Weight Paintモードで頭皮付近を赤く塗り、毛先に向かって徐々に青くなるようグラデーションをつけましょう。

これで髪の根元は固定され、毛先だけが自然に揺れるようになります。 キャラクターのアニメーションに合わせて髪を動かすには、Cache設定でBake All Dynamicsを実行します。

コリジョン(衝突)設定を適切に行う

キャラクターの髪の毛が体やオブジェクトを貫通してしまう問題は、適切なコリジョン設定で解決できます。

まず、体のメッシュを選択してPhysics PropertiesからCollisionを有効にします。Outer/Inner Thicknessはそれぞれ0.02程度に設定すると、自然な接触挙動が得られます。

髪の毛同士の絡まりを防ぐには、Particle SystemのCollisionセクションでSelfを有効にします。この際、Friction値を0.2程度に抑えることで、不自然な引っかかりを防止できます。 こうすることで、髪の毛が首に巻き付いたり、肩を貫通したりする問題が解消されます。

【初心者でも失敗しない】Blenderで髪の毛を作るコツ

ここまで発展的な内容が続きました。ここでは、初心者でも問題なくBlenderで髪の毛を作るコツを解説します。

  • リファレンス画像を効果的に活用する
  • シンプルな形状から段階的に作り込む
  • バックアップを定期的に作成する
  • プリセットを活用して効率的に作業を進める

リファレンス画像を効果的に活用する

髪の毛のモデリングで重要なのは、信頼できるリファレンス画像の選び方です。正面と側面の2枚以上の参考画像を用意し、Blenderのビューポートに表示させましょう。

画像の配置は、View > Background Imageから簡単に設定できます。 特に髪の生え際のラインと、毛束の重なり方に注目します。実際の髪は単純な直線ではなく、自然な曲線を描いているため、リファレンスの曲線をトレースするように作業を進めます。

モデリング中は定期的にリファレンスと見比べ、形状の差異を確認します。完成度を高めるコツは、時々視点を変えて全体のバランスをチェックすることです。こうすることで、立体的で自然な髪型が作れます。

シンプルな形状から段階的に作り込む

髪の毛のモデリングは、大まかな形から始めるのが成功への近道です。まずは頭の形に沿った基本的なシェル状のメッシュを作成します。この段階では細部にこだわらず、全体のシルエットを整えることに集中しましょう。

次に、Loop Cutツールを使って大きな毛束を分割していきます。この時点では3〜4の主要な束に分けるだけで十分です。それぞれの毛束の方向性と流れを決定したら、Proportional Editingを活用して自然な起伏を付けていきます。

最後に、細かな毛束の表現として、SubSurfモディファイアを適用し、エッジの硬さを調整します。急いで細部を詰めるのではなく、大枠から制作することが髪の毛のモデリングにおいては重要です。

バックアップを定期的に作成する

髪の毛のモデリング作業では、こまめなバックアップが重要です。

作業開始時に、File > Save AsからVersion1などの連番を付けて保存します。その後、30分おきか、重要な工程が完了するたびにバージョンを変えて保存しましょう。

特に複雑な毛束を作る前や、モディファイアを適用する前には必ずバックアップを作成します。万が一の失敗時も、直前のバージョンに戻れば大きな手戻りを防げるからです。

また、保存したファイルは日付でフォルダ分けすると管理が楽になります。また、重要な中間成果物は、ファイル名に「OK」や「KEEP」などの目印を付けておくと、後で見返す際に便利です。慎重すぎると思えるくらいのバックアップが、実は効率的な作業につながります。

プリセットを活用して効率的に作業を進める

Blenderで髪の毛を作る際、最初からすべての設定を自分で行うのは大変です。しかし、便利な「プリセット」という、あらかじめ用意された設定集を使うことで、簡単に始められます。

まず、髪の毛の基本設定では、画面右側の「Particle Properties」から「Long Hair」というプリセットを選びましょう。これを選ぶだけで、自然な髪の毛の長さや本数が自動で設定されます。

髪の毛の見た目を調整するには、「Material Properties」から「Hair BSDF」という設定を選びます。

プリセットを活用して効率的に作業を進める

これは髪の毛専用の設定で、ツヤや光の反射具合を簡単に調整できます。最初は標準設定のまま使い、慣れてきたら少しずつ数値を変えてみましょう。

これらのプリセットは、プロも使用している便利なショートカットです。まずはプリセットをそのまま使い、少しずつ自分好みにカスタマイズしていくのがコツです。

Blenderで髪の毛をモデリングする際によくある質問

続いて、髪の毛のモデリングによくある質問とその回答を紹介します。

髪の毛が貫通してしまうのですが、どうすれば防げますか?

A:コリジョン(衝突)設定を使うことで防げます。

髪の毛が体を貫通する問題は、簡単な設定で解決できます。まず、体のメッシュに対してPhysics PropertiesからCollisionをオンにします。

次に、髪の毛のParticle SystemでSelf Collisionを有効にしましょう。これだけで、髪の毛が体や他の髪を貫通することなく、自然な動きを実現できます。

髪の毛のボリュームが不自然になってしまうのを直したいです。

A:パーティクルの密度とウェイト設定の調整で改善できます。

不自然なボリュームは、まずChildren設定の調整から始めましょう。Display AmountとRender Amountを10~15程度に設定し、自然な密度を作ります。

さらに、Weight Paintモードで髪の生え際部分の密度を調整すると、より自然なボリューム感が得られます。特に頭頂部と側頭部でグラデーションをつけると効果的です。

レンダリング時間を短縮する方法はありますか?

A:パーティクルの密度とウェイト設定の調整で改善できます。

不自然なボリュームは、まずChildren設定の調整から始めましょう。Display AmountとRender Amountを10~15程度に設定し、自然な密度を作ります。

さらに、Weight Paintモードで髪の生え際部分の密度を調整すると、より自然なボリューム感が得られます。特に頭頂部と側頭部でグラデーションをつけると効果的です。

髪の毛の重さや質感をリアルに表現するには?

A:物理演算とマテリアル設定の組み合わせで実現できます。 自然な髪の重さを表現するには、Physics設定でMassを0.05程度に設定し、Dampingを5前後にします。

質感については、Hair BSDFシェーダーのRoughnessを0.2~0.4の間で調整すると、適度な艶が表現できます。さらに、Gravity設定を-0.1程度に抑えることで、ふんわりとした軽さも残しつつ、重力に従った自然な動きが実現できます。

複雑なモデルのレンダリング作業はRender Poolの活用がおすすめ

複雑な3Dモデルのレンダリングには、多大な時間と計算リソースが必要です。そのため、効率的な作業進行のためには、高速なレンダリング環境が求められます。

そこで、クラウドレンダリングサービス「Render Pool」の活用をおすすめします。Render Poolを活用することで、次のようにレンダリングの時間を短縮可能です。

  • ローカルPC:78時間
  • Render Pool:9時間

ローカルPCでは負荷がかかる作業もクラウド上にあるマシンに任せられるので、レンダリング作業を効率化できるでしょう。1分3円と低コストで利用できるので、まずは無料デモクレジットを活用してRender Poolの機能を確かめてみてください。

まとめ

Blenderを使用した髪の毛のモデリング方法について解説しました。髪の毛のモデリングにおいては複雑な操作が必要となりますが、何度も繰り返し操作を行うことで、自分が得意とする手法を見つけられるはずです。

ぜひ、今回の内容を参考に、Blenderで魅力的な髪の毛のモデリングに挑戦してみてください。