【2024】3DCGの技法「レイトレーシング」とは?ゲームの実例でわかりやすく解説
3DCG制作のレンダリングで「レイトレーシング」ということばを聞いたことがある方は多いでしょう。
本記事では、レンダリングの技法である「レイトレーシング」について詳しく解説します。
レイトレーシングとラスタライズの違いや、レイトレーシング技術を利用しているゲームの実例なども紹介します。
レイトレーシングとは
レイトレーシングとは、現実世界に近いレンダリングを行うための技術です。
光・影・反射などをリアルに表現することができます。
たとえば、「光の屈折率」や「光の反射率」などを3Dソフト上で緻密に計算し、リアルな表現を演出することが可能です。
レイトレーシングでどんな画面が作れるのか
レイトレーシングを行うと、反射や光の屈折などを再現できます。
たとえば、雨で濡れたアスファルトやガラスに付着した水滴などがリアルに表現することが可能です。
通常のレンダリングでも「水」を再現することは可能ですが、水に反射している物質を再現することはできません。
しかし、レイトレーシングの場合、緻密な計算を行うので、水に反射したビルの姿や靴の色などがしっかりと写り、通常のレンダリングより、リアルな表現をすることができるのです。
レイトレーシングとラスタライズの違いは?
レイトレーシングとラスタライズの大きな違いは、描画方法にあります。
それぞれの違いを説明するために、各描画方法について詳しくみていきます。
レイトレーシングの描画方法
レイトレーシングは、光線追跡法と日本語訳することができます。
つまり、物体をピクセルで表現しているのではなく、光を追跡してレンダリングを行っているのです。
3DCGにおいて、レンダリングする画面の位置にレンズがあると考えます。
そのレンズから光がどのようにはるかを計算する手法となっているため、いわば観察者やカメラの視界から光を逆追跡しているというようなイメージです。
現実世界では物理計算することなく観察者の目に入ってくるので、イメージしづらいですが、レイトレーシングを使った3DCGソフトでレンダリングする場合においては、光の動きを物理計算してモデルの描画を行っています。
ラスタライズの描画方法
ラスタライズの場合は光の動きを計算しません。
ラスタライズの描画方法は、3Dでモデリングされたデータを平面として処理し物体を「多角形(ポリゴン)」として扱う描画方法になります。
具体的には、3Dデータをラスタライズする際にはデータを「ピクセル」として捉え、高速でレンダリングを行うことができるのです。
つまり、ラスタライズは3Dモデルを絵画的に描画していく方法だといえるでしょう。
レイトレーシングとラスタライズの比較
これまで紹介してきたことをまとめると、次のように表現することができるでしょう。
- レイトレーシングは光の計算によって間接的に描画している
- ラスタライズは3Dモデル自体を直接的に描画している
レイトレーシング・ラスタライズにはそれぞれメリット・デメリットがあるため、自分の3Dモデリングの最終イメージに合わせてレンダリング技法を使い分けましょう。
【具体例】レイトレーシング技術が活用されているゲーム
レイトレーシングはリアルな画面に向いているので、ゲームで活用されることが多いです。
また、ゲームではリアルタイムで描画する「リアルタイムレイトレーシング」が活用されていることもあります。
ここでは、レイトレーシングが活用されているゲームを4つ紹介します。
- Fortnite
- Minecraft
- コール オブ デューティ ブラックオプス コールドウォー
- CyberPunk2077
Fortnite
人気バトルロワイヤルゲームである「Fortnite」では、レイトレーシング技術が用いられています。
以前はレイトレーシングが利用できませんでしたが、アップデートによってレイトレーシングを有効化できるようになりました。
もちろん、レイトレーシングをするにはPCのスペックが要求されるので、利用できないケースもあります。
レイトレーシングを利用する際に推奨されているスペックは次のとおりです。
- DirectX 12
- CPU:4コア以上
- GPU:NVIDIA GeForce RTX 2060 もしくはそれ以上(更新されたドライバーを使用: 450.00 以降をサポート)
- Windows 10 バージョン1903(2019年5月の更新、ビルド番号18362以上)
フォートナイトのホームページでは、「最小システム要件」が記載されています。
Minecraft
長年人気のMinecraftもリアルタイムレイトレーシングに対応しています。
以前は「ドットが美しいゲーム」といった印象でしたが、現在はレイトレーシングによってリアリティのある画面を楽しめるようになりました。
窓から差し込む太陽の光や、水面の反射などが取り入れられるようになり、ますます美しいグラフィックが人気となっています。
昔から人気度の高いMinecraftもレイトレーシングに対応しました。
コール オブ デューティ ブラックオプス コールドウォー
FPSゲームとしてビックタイトルである「コール オブ デューティ ブラックオプス コールドウォー」もレイトレーシングに対応しています。
FPSは一人称画面でゲームが進みます。
よりリアリティの溢れる画面でプレイができるため、自分がゲームの世界に没入しているような体験ができるでしょう。
影の位置・爆発の光・炎の反射などはレイトレーシングが活用されています。
CyberPunk2077
サイバーパンク2077は、オープンワールドのRPGゲームです。
夜の繁華街や海がモチーフとなっているゲームで、レイトレーシングならではの美しい反射が楽しめます。
レイトレーシングのメリット
レイトレーシングの描画方法や具体的なレイトレーシングを用いたゲームについて紹介してきました。
レイトレーシングの全体像を理解できたでしょうか?
続いては、3Dモデリングを行う上でもレイトレーシングのメリットについて再度詳細を紹介します。
主にメリットは2つです。
- リアリティのある画面が作れる
- 表現したい映像が描画できる
メリットについては記載するまでもないかもしれませんが、補足情報も紹介します。
リアリティのある画面が作れる
レイトレーシングは光の計算を行ってレンダリングするので、リアルな画面を描画することができます。
たおえば、オープンソースの3DCGソフトである「Blender(ブレンダー)」でもレイトレーシングを行うことが可能です。
具体的には、Blenderのレンダリングエンジンの1種である「Cycles」を利用してレイトレーシングすることが可能です。
つまり、モデリング後に誰でもレイトレーシング技術が使えるということです。
3DCGで制作しフォトリアリスティックな画面を作りたい人が、希望どおりに制作を進められます。
表現したい映像が描画できる
映像制作をしている場合、水面・鏡・ガラス・窓などに物質を反射させた映像を撮ることが可能です。
たとえば、水面やガラスの反射越しにモデルを動かすといった演出もできます。
レイトレーシングを活用するだけで映像の幅が広がるということですね。
レイトレーシングの課題・デメリット
3DCGでレイトレーシングを行うメリットについて紹介してきましたが、メリットだけではありません。
実際のところ、まだまだ課題があります。
- CPUやGPUに高いスペックが必要
- レンダリングに時間がかかる
- レンダーファームを組む必要がある
これら3点のレイトレーシングの課題について詳しく解説していきます。
CPUやGPUに高いスペックが必要
レイトレーシングを活用するためには、スペックの高いPCが必要になります。
レイトレーシングの計算を行う際には、コンピュータに大きな負荷がかかるからであり、大きな負荷に耐え切れるスペックが必要だということです。
最悪の場合、レンダリング中にPCがクラッシュしてしまうという事態もあります。
レイトレーシングを行うためにどのくらいのスペックが必要かといえば、モデルによっても異なりますが、 Blenderが公開している推奨スペックのPCを用意しておけば問題はないでしょう。
- CPU:8コア64ビット
- メモリ:32GB
- ディスプレイ:フルHD
- 外部デバイス:3ボタンマウス、ペンタブ
- グラフィックボード:12GBのVRAM GPU
とはいえ、スペックの高いPCを導入するには導入コストがかかるので、レイトレーシングを行うにはハードルがあるといえるでしょう。
レンダリングに時間がかかる
PCのスペックが低くても、ギリギリレイトレーシングに対応しているPCを用意すれば、十分にレンダリングを行える可能性はあります。
しかし、スペックがギリギリだと、レンダリングに相当な時間がかかってしまうこともあるのです。
レイトレーシングの場合、
- 影
- 反射
- テクスチャ
- モデルの数
- 光源の位置
などの要素を追加してリアリティを生み出しています。
これらは非常に高度な編集ですので、レンダリングの時間は大幅にかかってしまうことを考えておきましょう。
レンダーファームを組む必要がある
レンダーファームとはレンダリング作業を効率化するために作られる、いわば「コンピュータの集まり」のことを指します。
サーバーを複数台接続し「クラスター」という状態にして、レンダリングの作業効率をあげます。
3DCGやや3D映像業界ではレンダーファームを構築するのが常識となっていますが、一般のユーザーがレンダーファームを構築するのはあまりにも難しいのです。
サーバーを複数台組み合わせるために圧倒的なコストがかかりますし、レンダーファームを設置するスペースも導入しなければなりません。
また、レンダーファームを組むのに専門的な知識も必要。さらには、仮に構築できたとしてもランニングコストがかかってしまうので、個人で3DCGを行う場合に構築はほぼ不可能です。
しかしレンダーファームを組まないと、作業に膨大な時間がかかってしまうのです。
レイトレーシングするならクラウドレンダリングを使うのがおすすめ
レイトレーシングを行う場合、レンダーファームを構築する必要があるとお伝えしましたが、別の方法でレイトレーシングを行う方法もあります。
それは、クラウドレンダリングを利用するという方法です。
この方法を用いれば、個人でも費用を抑えてレンダリングできます。
クラウドレンダリングとは、インターネット上のクラウドサーバーでレンダリングできるサービスのことです。
すでに構築されているレンダーファームをブラウザから簡単に利用することができます。
クラウドレンダリングの最大の特徴は、レンダリングしたい時だけ利用できるという点です。
ランニングコストがかからないため、レンダーファームを構築するよりも費用をかけずレンダリングができます。
また、利用しているPCがハイスペックマシンでなくてもレンダリングできる点も特徴です。
あまり費用をかけずにレイトレーシングを行うなら、クラウドレンダリングがおすすめです。
まとめ
レイトレーシングの概要やレイトレーシングが使われているゲームの実例、レイトレーシングの課題などについて紹介しました。
レイトレーシングには「導入が難しい」という課題はあるものの、うまく活用できれば、高品質な画面を作成することが可能です。
費用などを総合的にみて、レイトレーシングをするなら「クラウドレンダリング」を利用すべきでしょう。
当社モルゲンロットが提供する「Render Pool」でも、クラウドレンダリングサービスをご利用いただくことが可能です。
Render Poolは、他のサービスと比較して「価格」「操作性」で勝ります。
1分3円からレンダリング可能で、プリペイドシステムを採用しているため予算を超える心配がありません。
そのため、安心してご利用いただけるでしょう。
また、Render Poolは日本語の問い合わせに対応しています。
日本語に対応しているクラウドレンダリングサービスは珍しく、わからないことが出てもすぐに質問できます。
高品質なレイトレーシングを行うなら、Render Poolのクラウドレンダリングサービスをご検討ください。