【2022】レンダリングエンジンとは?3DCG・Webブラウザ別に解説


by Render Pool

10月 15, 2022

3DCGやアニメーション制作、動画制作やWeb制作において、「レンダリングエンジン」は重要です。業務スピードに関わってくるからです。

初心者の方であれば、レンダリングエンジンは種類が多く「どのエンジンを選べば良いのか?」と、混乱してしまう場合もあるでしょう。

ここでは、3DCGとWebにおけるレンダリングエンジンの種類を解説します。

レンダリングエンジンとは?

レンダリングエンジンとは、3DCGやWebの制作をする際に利用する基本ソフトや総合ソフト上で動かす「追加ソフト」「追加システム」「追加パーツ」です。

3DCGの世界では「レンダラー」という呼び方もあります。

場合によっては、「プラグイン」とも言います。

DTM(楽曲制作)の世界でもプラグインは使われており、基本ソフトや総合ソフト(DAW)の足りない機能を追加したり、バージョンアップしたりする場合に利用します。

3DCGでも同様に、機能を追加したり性能を上げたりする場合に使用できます。

詳しくは後で紹介しますが、Webの世界ではレンダリングエンジンとは主に「HTMLレンダリングエンジン」を指し、普段インターネットを閲覧しているブラウザの基礎部分となっています。

3DCGにおけるレンダリングエンジン

3DCGでのレンダリングエンジンには、「3DCGソフトにセットで入っている標準のレンダリングエンジン」と、「さまざまな企業が提供しているサードパーティのレンダリングエンジン」があります。

DTMの世界でも同様で、総合ソフトには標準のプラグインが入っていますが、音質があまり良くなかったり量が少なかったりするため、サードパーティのプラグインを利用することがあります。

3DCGの世界でも、足りない機能のためにレンダリングエンジンを追加したりします。

レンダリングエンジンには

  • アンバイアス
  • バイアス

と呼ばれる2種類があります。

アンバイアス

アンバイアスのレンダリングエンジンは、物理的に合っている処理を行うエンジンです。

処理の時間が長くなるというデメリットがあります。

一方で、比較的設定が簡単というメリットがあります。

バイアス

バイアスのレンダリングエンジンは、物理的には合っていない処理を行うエンジンです。

設定がやや難しいというデメリットがあります。

反面、処理時間が比較的早く、さまざまな設定を行うことができるメリットがあります。

レンダリングエンジンは、一般的に3DCGソフトと連動させて動かしますが、エンジンのみで利用できるものがあります。

こちらは「スタンドアロン」と呼びます。

 

DTMの世界でも同様で、プラグインには総合ソフトなしでは動かないものもあれば、スタンドアロンで動くものもあります。

それでは、ここからは具体的なレンダリングエンジンを6つご紹介します。

3DCGのレンダリングエンジン①:V-Ray

V-Ray

引用元:V-Ray

 

V-Rayは、ヨーロッパのブルガリア共和国にある企業が提供しているレンダリングエンジンです。

CGクリエイターなど国内でも多くの業界で導入されており、デザイナーやアーティストが愛用しています。

レンダリングを処理するスピードが非常に早く、なおかつ高性能であることが特徴です。

 

V-Rayは、3DCGソフトによって別のプラグインが用意されていて共用はできないため注意が必要です。

例えば、3DCGソフト別に次のようになっています。

  • Maya:V-Ray for Maya
  • 3ds Max:V-Ray for 3ds Max
  • Cinema 4D:V-Ray for Cinema 4

3DCGのレンダリングエンジン②:Arnold

Arnold

引用元:Arnold

 

Arnoldは、Marcos Fajardo氏によって開発されたレンダリングエンジンです。

映画の「アリス・イン・ワンダーランド」や「X-MEN」などに利用されたことで有名です。

 

Arnoldは、Solid Angle社が販売しています。

設定が簡単で、比較的操作がしやすいことが特徴です。

また、「パストレーシング方式」というレンダリングエンジンを利用しているため、速いスピードで処理ができます。

 

Arnoldは、1997年に製品開発がスタートし、Autodesk社がSolid Angle社を吸収したことにより、Mayaなどの3DCGソフトに採用されています。

3DCGのレンダリングエンジン③:Cycles

Cyclesは、無料3DCGソフトのBlenderで使えるレンダリングエンジンです。

Blenderのバージョン2.61から利用できます。

また、アンバイアスのレンダリングエンジンとなっています。

 

GPU(グラフィックボード)でのレンダリングにも対応しており、GeForceなどと一緒に利用すると高速なレンダリングを実現できます。

「レイトレーシング(パストレーシング)」という画像の表現方法が採用されており、実写に近い高画質なイメージを表現可能です。

3DCGのレンダリングエンジン④:RenderMan

RenderMan

引用元:RenderMan

 

Render Manは、映画で有名なピクサー・アニメーションスタジオが開発しているレンダリングエンジンです。

ピクサー社は、現在はウォルト・ディズニーグループですが、元々はApple社を創業した故スティーブ・ジョブズ氏が設立した会社です。

 

Render Manは、映画「ファインディング・ニモ」の制作にも利用されています。

また同エンジンは、3DCGソフトのMayaなどに対応しています。

無料ソフトのBlenderにも対応していたのですが、バージョン22からは非対応となっています。

3DCGのレンダリングエンジン⑤:Radeon ProRender

RadeonProRender

引用元:Radeon ProRender

 

Radeon ProRenderは、AMD社が開発しているレンダリングエンジンです。

Radeonは、パソコンやコンピューターなどのGPU(グラフィックボード)のブランドとして有名です。

ATI社が販売していたブランドですが、2006年にコンピューターパーツや半導体製造の方でMD社に吸収合併されたため、現在は同社のブランドとなっています。

 

Radeon Pro Renderは、GPUとCPUの両方を利用するため高画質なイメージを処理することができます。

高性能ながら無料で提供されており、3ds Max、Blenderといった3DCGソフトに対応しています。

3DCGのレンダリングエンジン⑥:NVIDIA Iray

NVIDIA Iray

出典:NVIDIA Iray

 

NVIDIA Irayは、GPUの開発に強いNVIDIAが提供しているレンダリングエンジンです。

GPUと言えば、前述したRadeonとGeForceという2つのブランドが有名ですが、GeForceブランドを販売しているのがNVIDIAです。

 

NVIDIA Irayは、建築などのクリエイター、写真家など幅広い専門家が業務で利用できます。

CPUとGPU両方でのレンダリングに対応しており、まるで実物のようなCGを表現することが可能です。

レイトレーシングを採用しており、高速処理が出来ます。

Webにおけるレンダリングエンジン

Webの世界におけるレンダリングエンジンとは、インターネットブラウザ用のエンジンです。

インターネットブラウザとは、Windowsパソコンでよく利用されていた「Internet Explorer」や、iPhoneで採用されている「Safari」などが有名です。

これらのブラウザの裏側ではレンダリングエンジンが動いており、それを「HTMLレンダリングエンジン」と呼びます。

 

Webサイトは、HTML、CSS、Java Scriptなどのコンピューター用言語で構成されていますが、HTMLレンダリングエンジンがそれを処理し、私たちが読むことが出来る文字や写真などに変換しています。

それでは、ここからHTMLレンダリングエンジンを4つご案内します。

Webのレンダリングエンジン①:Trident

Tridentは、「Internet Explorer」で利用されているHTMLレンダリングエンジンです。

Tridentで動作しているInternet Explorerは、WindowsOSやパソコンが普及する前から利用されていたブラウザです。

 

2020年3月現在、Windowsはバージョン10になっており、Internet Explorerの提供は終了しています。

ただ、Internet Explorerは現在でもブラウザランキングで上位に入っており根強い人気があります。

Tridentは、C++というコンピューター言語で記述されています。

Webのレンダリングエンジ②:Edge HTML

Edge HTMLは、Internet Explorerに代わる新しいブラウザとして発表された「Microsoft Edge」に使われているHTMLレンダリングエンジンです。

Internet Explorerに慣れてしまった人が多いのか、Edge HTMLで動作しているMicrosoft Edgeはあまり利用者が伸びていません。

 

Edge HTMLは、Tridentから派生したプログラムが利用されています。

また、C++言語で記述されています。

WEBのレンダリングエンジン③:Blink

Blinkは、Google Chromeなどのブラウザで利用されているHTMLレンダリングエンジンです。

Google社は「Chromium」という無償のブラウザ用プログラムを公開しています(このようなプログラムを「オープンソース」と呼びます。)

 

先ほど紹介した「Microsoft Edge」や「Opera」というブラウザはChromiumを採用しているため、HTMLレンダリングエンジンもBlinkが利用されています。

このエンジンも、C++言語で書かれています。

WEBのレンダリングエンジン④:Webkit

Webkitは、ブラウザのSafariに採用されているHTMLレンダリングエンジンです。

Safariは、iPhoneやiPadで有名なApple社が開発しているインターネットブラウザです。

 

iOS用のブラウザには、すべてWebkitが利用されています。

iOS版Safariを含め、通常はBlinkが採用されているGoogle Chromeも、GeckoというHTMLレンダリングエンジンを採用しているブラウザのFirefoxもiOS版ではWebkitが使用されています。

Render Pool(レンダープール)を活用するメリットとは?

Render Pool

レンダリングエンジンを活用してレンダリングを行う場合、お幅に時間がかかってしまうことが考えられます。

その際におすすめなのが、当社モルゲンロットが提供する「Render Pool」を活用する方法です。

ここでは、Render Poolを活用する3つのメリットについて紹介します。

①高速レンダリングが可能

1つ目のメリットは、高速レンダリングが可能である点です。

Render Poolには1,000台以上の高性能サーバーやPCで構築されたレンダーファームがあります。

こちらを活用すれば、レンダリングにかかる時間を大幅に削減できるでしょう。

事実、通常のパソコンを使用した場合に292時間かかっていた映像作品のレンダリングでは、Render Poolを活用することで、約15時間まで短縮できたデータがあります。

②手元のマシンからクラウドレンダーファームにアクセス可能

2つ目のメリットは、手元のマシンからクラウドレンダーファームにアクセスできる点です。

クラウドベースでレンダリングが行えるため、自宅のPCから高速のレンダリングを簡単に利用できます。

また、レンダリング中でもローカルPCを利用できるため、レンダリング中の時間も制作に有効活用可能です。

③1分3円の低コストで利用可能

3つ目のメリットは、1分3円の低コストで利用できることです。

高性能なレンダリングを1分あたり3円から利用でき、1時間レンダリングを行っても180円と高いコストパフォーマンスが実現可能です。

「レンダリングに時間をかけたくないけど、コストもできる限り抑えたい」と感じているユーザーには最適なサービスとなっています。

まとめ

3DCGとWebにおけるレンダリングエンジンについて解説しました。

レンダリングエンジンにはさまざまなものがあり、自分の求めるクオリティに最適なエンジンを活用することが求められます。

今回お伝えした内容を参考に、レンダリングエンジンの使い分けについて考えてみてはいかがでしょうか?

また、3DCG業界でレンダリングを行う場合、動作において時間がかかってしまう場合は、当社モルゲンロットが提供する「Render Pool」を活用することをおすすめします。

登録で無料でもクレジットが取得可能です。

ぜひ無料登録を進め、Render Poolのレンダリング速度を実感してみてください。