
【2023】GPUレンダリングとは?CPUレンダリングとの違い&どちらが必要?
Blenderなどのソフトでモデリングが完了した後に行う操作として、レンダリングがあります。簡単なモデルであれば、レンダリングに多くの時間を要することはありませんが、映像などのデータ量が多いモデルをレンダリングするのには多くの時間が必要となります。
そこで活用すべきなのが「GPUレンダリング」です。GPUレンダリングであれば、通常のCPUレンダリングよりも素早く作業を終えられるため、スムーズに制作を進められます。
今回は、GPUレンダリングの概要やCPUレンダリングとの違いについて詳しく解説していきます。また、GPUよりも素早くレンダリングできる「クラウドレンダリング」についても解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
レンダリングにおけるGPUの役割
GPUとは、 画像や映像の処理を主に行うパーツです。レンダリングではグラフィックを高速で処理する必要があるため、GPUの処理能力の高さが求められているのです。
とはいえ、レンダリングについてイメージがつきづらい方も多いと思いますので、レンダリング中にパソコン内部で行われている事象について少し解説します。
パソコンのCPU(中央処理装置)では、通常ほとんどの人が気づくことのない一連の操作が実行されています。実は、私たちコンピュータユーザーは映像や画像を見る際、「0」と「1」の繰り返しを見ているだけに過ぎません。
より詳細にいえば、「0」と「1」の2進数で映像や画像を表現しているのです。ただし、数字の状態では人間が画像として認識することはできないため、人間が見やすいように翻訳をしています。それがレンダリングと呼ばれています。
いわば、レンダリングは英語を日本語に翻訳することのようなもので、スペックの高いGPUは「翻訳家」のようなものです。プロフェッショナルが翻訳すれば高速で英語を処理できるように、スペックの高いGPUを使用することで高速でレンダリングができるのです。
現代では、高性能なGPUが多数販売されており、コンピュータの処理能力は過去10 年間で3倍になったと言われています。しかし、それでもハードウェアの面においてアニメーション、3D デザイン、およびゲームの開発は、常にプロセッサに負荷がかかる作業であり、こういった複雑な計算が求められる分野においては、より強力な処理能力が求められます。そのため、レンダーファームなどサーバーを複数台組み合わせた施設が必要になっているのです。
ちなみに、CPUは、あらかじめ用意された容量の中でなければ、操作を実行することができない特性があります。処理能力が限界に近づくと、コンピュータ内部のファンが突然早くなったりうるさくなったりする挙動を起こします。
これは、コンピュータにとって、その処理が厳しいことを伝えようとしているようなものです。特に、レンダリング時にファンが突然早くなることは多く、CPUにとっては、RAM(ランダムアクセスメモリ)の容量に関係なくレンダリング作業が大変なことだということを示してくれています。
デザイナーやゲーマーなどパソコンのグラフィックスを駆使する職業の方にとって、CPUの処理能力が限界に近づくことは日常茶飯事です。
GPU(グラフィックスプロセシングユニット)は、CPU が必要としないグラフィックスの計算やプロセスを実行します。
より多くのオンボードRAMを搭載した高速CPUがワークステーションの高速化に役立つように、より強力なGPUを搭載したビデオカードは、グラフィックスをより高速かつ効率的にレンダリングしてくれます。
GPUレンダリングとは
GPUレンダリングとは、GPUを活用して効率的にレンダリングを行う機能のことを指します。
他にレンダリングを行う方法として「CPUレンダリング」もあります。これは、その名のとおりCPUを活用してレンダリングを行うことです。CPUはパソコン全体を動作させる司令塔としての役割を持つため、レンダリングに特化しておらず、計算効率はあまり良くありません。
一方で、GPUはパソコンの中でも画像処理に特化したパーツであり、レンダリングのスピードを大幅にアップさせられます。したがって、GPU性能の高いPCを購入することで、快適にレンダリングが行えるようになります。
また、GPUがレンダリングの機能を受け持つことで、CPUは本来の力を発揮でき、パソコン全体の作業効率をアップさせることにもつながるでしょう。つまり、レンダリングにおいてはCPUのスペックを上げるよりもGPUのスペックを上げた方が、効率的に作業が行えるようになります。レンダリングにはあまり適していないCPUを酷使することがないため、パソコンの寿命を伸ばすことにもつながります。
GPUレンダリングとCPUレンダリングの比較
GPUレンダリングとは何かについてはご理解いただけたことでしょう。GPUレンダリングとCPUレンダリングのどちらが必要なのかは、ご自身のタスクに依存します。
ただし、GPUレンダリングに比べて、CPUレンダリングのメリットの方が大きいといまだに信じている方が多いのです。そこで、ここでは2つを選択する前に考えてもらいたい2つの要素について解説します。
1.量と質
建築家の場合を考えてみると、クライアントの要望をいち早く満たしたいという場合、GPUレンダリングはプロジェクトをより速くクライアントのもとへ届けることができ、出力の生産性を向上させることができます。
GPUには描画処理に長けている特徴があるため、レンダリングとの相性が非常に良いです。アニメーション制作を行っている方の場合、質と精度が絶対に必要です。
CPUレンダリングの速度は遅いですが、はるかに精度が高くノイズや粒状性の問題のないレンダリングパスを保証してくれます。
CPUは GPUのようにグラフィックスに強いパーツではありません。したがって、CPUの方がGPUよりも処理速度が遅くなってしまいます。
ただし、GPUよりも多くのメモリを利用でき多種多様な命令を送れるため、CPUパーツの種類によっては精度の高いレンダリングを実現可能です。つまり、量を重視するならGPUを、質を重視するならCPUを重視すると良いでしょう。
2.ハードウェアのコスト
初心者のアーティストやデザイナーであったり、趣味で何かを作ってみたいと思っている人であったりする場合、趣味で作るような作品であれプロ並みの作品を作る場合であれ、GPUレンダリングであれば圧倒的にハードウェアのコストを抑えることができます。
特に、パソコンのパーツは使用頻度が高いほど熱が発生するなどの原因で寿命が低下していきます。1つのGPUは、CPU数10個分のタスクを引き受けることができるといわれているため、GPUを利用した方がパーツの消耗を軽減でき、低コストにつながるのです。
市場における最高のGPUとは
3Dモデリングおよびレンダリングソフトウェアに関しては、GPUレンダリングが必要不可欠です。GPUレンダリングはCPU にまったく負担をかけずはるかに高速であり、電力消費量が小さいことはいうまでもありません。
最近、この業界で知名度が高く最も信頼性の高い開発者であるNVIDIAやAMDなどによって、より強力な GPU コアが製造されています。それぞれNVIDIAとAMDのGTXおよびRTXシリーズ、RadeonとRyzenシリーズのプロセッサがあり、ほとんどのスタジオやアーティストは、これらのツールを使用して作品をデザインしています。
多くの方が好んで上記のGPUを導入していることからも、その性能が高く汎用性が高いことがわかります。
ちなみに、NVIDIAの場合はRTX 2080とRTX 2080Tiがこれまでで最も強力なGPUであり、デスクトップ・ノートパソコンいずれのワークステーションも収容することができます。このユニットは最高峰であるといわれているものの、ご予算に限りがある場合は選択肢から外れてしまうかもしれません。
AMDのユニットも同様のパフォーマンスを誇りますが、競合他社ほど高価ではありません。Radeon RX 5700とRX 5700 XTであれば、ご予算に制限がある場合であっても、忠実で質の高いグラフィックスを制作できます。
自分に最適なグラフィックカードを見つけたら、次のステップはご自身の次の傑作に命を吹き込むことです。ここで紹介したどのブランドを選択したとしても、ご自身の想像力によって高クオリティのモデルを制作できるでしょう。
GPUレンダリングの使用方法
次に、GPUレンダリングの使用方法について解説します。ここでは、多くのユーザーが使用しているオープンソースソフト「Blender」におけるやり方を解説します。Blenderの場合、標準搭載のレンダラーならCyclesのみGPUレンダリングが可能です。
Cyclesでレンダリングを行い場合、まずはレンダラーからGPUレンダリングができるように設定します。サイドのプロパティタブから「レンダープロパティ」をクリックします。
そこから、「Cycles」に設定を変更しましょう。
「デバイス」の「GPU演算」をクリックすればGPUレンダリングの設定が完了です。
GPUレンダリングの課題
ここまでGPUレンダリングのメリットや使用方法などを解説してきましたが、GPUレンダリングには未だ課題も残っています。ここでは、いくつかの課題について解説します。
EeveeでGPUレンダリングはできない
Blenderの場合にはなりますが、EeveeでのGPUレンダリングはできません。とはいえ、そもそもCyclesは時間をかけてレンダリングを行う方式である一方、Eeveeは高速でレンダリングを行う方式なので、GPUレンダリングを必要としません。
とはいえ、気づかずEeveeを使用し「GPUレンダリングができない」と悩む方もいらっしゃるため、初歩的な部分ですが注意が必要です。
高精度のレンダリングには時間がかかる
また、高精度のレンダリングを行う場合、たとえGPUだとしても時間がかかることも課題の1つです。GPUレンダリングはCPUの10倍程度の処理速度があるとはいわれますが、それでもフルCGの映像やフォトリアルな画像の場合、レンダリングに多くの時間を要することもあります。高速でレンダリングを行うにはGPUを複数台組み合わせたレンダーファームが必要になるケースもあるため注意が必要です。
PCのスペックによってはクラッシュするリスクがある
あまりスペックの高くないPCを導入した場合、処理に追いつけなくなりクラッシュしてしまうこともあります。場合によってはデータが破損してしまう恐れもあるため、注意しましょう。
もっとも、GPUレンダリングに限らずクラッシュは発生する可能性があるため、データを別の箇所に保管しておくなど対策を講じることが大切です。
高精度のレンダリングには資金が必要になる
前述したように、高精度のレンダリングを行うためにはスペックの高いGPUを導入する必要があり、多くのコストがかかってしまいます。特に個人では購入できないようなGPUを構築しなければならないこともあるため、この点には注意が必要です。
現在ではGPUレンダリングを効率化できるクラウドレンダリングサービスが各社から提供されているため、そちらを利用するのも良いでしょう。
GPUレンダリングならRender Poolがおすすめ
GPUレンダリングを実行するなら、当社モルゲンロットが提供している「Render Pool(レンダープール)」のクラウドレンダリングがおすすめです。ここでは、Render Pool をおすすめする理由について3つ紹介します。
1000台以上のサーバーで構築
Render Poolには、1,000台以上の高性能サーバーが搭載されているため、1000フレーム以上の容量があるデータでも一度にレンダリングできます。
また、クラウドベースでレンダリングができるため、いつでもどこでもレンダリングにかかる時間を大幅に短縮できるでしょう。たとえば、通常のパソコンを使用した場合にレンダリングに292時間かかっていたデータを、Render Poolでは約15時間に短縮できた事例もあります。この場合、レンダリングにかかる時間を約20分の1に抑えられているため、Render Pool活用によって大幅な時間短縮を実現することができます。
1分3円からの低コストを実現
レンダリングは1分3円の低コストで行えます。したがって、1時間かかるレンダリングの場合、180円で利用可能です。
前述した292時間かかっていたレンダリングに対してRender Poolを使う場合、作業時間は15時間、総額2,700円で利用できます。また、レンダーファームを1から構築するような場合にはサーバーを購入するための膨大な初期費用がかかりますし、そうでなくてもレンダリング用の高性能パソコンを導入する場合、最低でも数十万円ほどの出費が必要になります。
一方で、クラウドレンダリングの場合は、初期費用が一切かかりません。また、サーバーを構築するための人手も手間も必要ありません。
そのため、レンダリングに時間とコストをかけたくないユーザーには最適なサービスとなっています。
レンダリング中も作業を実行可能
Render Poolを活用すれば、クラウドベースでレンダリング作業を実行できるため、レンダリング中に他の作業を行うことも可能です。
通常、パソコンを使用したレンダリングの場合、同時にモデルの編集や映像編集を行うことはスペック的に難しいです。したがって、レンダリングを終えるまでパソコンを放置しておかなければなりません。
しかし、Render Poolを利用すれば外部のサーバーを使用してレンダリング作業が実行できるため、レンダリング中だとしても同時並行で作業を行うことができるのです。納期が迫っている時ほど、「レンダリング中に他の作業がしたい」と感じてしまうものです。そういったニーズもクラウドレンダリングが解決してくれます。
クラウド型レンダーファームRender Poolを使う手順
ここでは、当社モルゲンロットが提供している、クラウド型レンダーファーム「Render Pool」の使用方法について解説します。
ファイルをアップロードする
まずは、Render Poolのメニューからファイルをアップロードしましょう。.blendもしくは.zipファイルをドラッグ&ドロップするだけの簡単操作でアップロードできます。
パラメータを設定する
次に、レンダリングのパラメータを設定します。パラメータでは次の項目を設定しましょう。
- ファイルフォーマット:EXR、PNG、MP4から選択する
- レンダリング設定:サンプル値やフレームを設定する
これらの項目でレンダリングの精度を高めたり、逆に高速化したりできます。ご自身の求めるレンダリングに合わせてパラメータを設定しましょう。
レンダリングを実行する
そして、レンダリングを実行します。レンダリング開始をクリックするとレンダリングが開始されます。フレームごとに各サーバーがレンダリングを行ってくれるため、レンダリングにかかる時間を大幅に短縮することが可能です。
実際、Render Poolでは1,000台以上の高性能サーバーを用意しており、通常のレンダリングで290時間超の映像を15時間程度に抑えられた実績があります。
結果をダウンロードする
レンダリングが完了したら、結果をダウンロードしましょう。
ちなみに、レンダリングを行う際のファイルの準備方法には以下の記事からご覧いただけます。Render Poolの利用を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
GPUレンダリングの概要やCPUレンダリングとの違い、クラウドレンダリングを活用するメリットについて紹介しました。
CPUはパソコンのパーツに指令を出す役割を持ちます。しかし、画像処理に特化した機能は持っていないため、CPUレンダリングでは役不足になりかねません。
そこで、普段からレンダリングの際はGPUを活用しましょう。GPUは画像処理に特化しており、レンダリングの作業効率を大幅にアップさせられます。レンダリングの時間を短縮したい場合にはGPUレンダリングの活用がおすすめです。
また、GPUレンダリングよりも時間短縮が必要なシーンでは、当社モルゲンロットが提供する「Render Pool(レンダープール)」の活用がおすすめです。
クラウド上で1分3円の低コストから利用可能です。1,000台以上のサーバーによって、大幅な時間短縮を実現可能です。
今なら登録で無料デポジットを利用したデモレンダリングができるため、Render Poolの性能を試すことができます。まずは登録から進めてみてはいかがでしょうか?