【2024】Blender(ブレンダー)でのGPUの役割は?GPUレンダリングのやり方
「3DCG制作ではGPUが重要」だということを聞いたこともある方も多いことでしょう。しかし、そもそもGPUとは何なのか、どう3DCG制作に関わってくるのか、いまいち理解しきれない方も多いのではないでしょうか?
この記事では、GPUとはなにか、Blenderにどう影響するのかなどについて解説していきます。
GPUとは
GPUは、「Graphics Processing Unit」の略称です。それぞれ日本語だと、次のように訳すことができます。
- Graphics:映像
- Processing:処理、加工
- Unit:部品
つまり、GPUは映像を処理、加工しするための部品というわけです。主に、パソコン内部に部品の一つとして存在します。
パソコンは、それ単体ではあくまでさまざまな計算や処理を実行するだけの機械にすぎず、その結果を出力するモニターやスピーカーはパソコンとはまた別の機器です。モニターに画像映像を出力するには専用の処理を行う必要がありますが、それを行ってくれるのがこのGPUです。
ほとんどのパソコンには、GPUは最初から備え付けられています。そのため、特に何も意識することなくモニターと接続さえできれば活用することができます。
しかし、高品質な3Dゲームや処理の重いBlender(ブレンダー)などの作業を行おうとすると、最初から備え付けられているGPUでは性能不足となり、さまざまな不具合を引き起こしてしまうことがあります。そういった場合に必要になるのが「グラフィックボード」です。
グラフィックボードには、最初からパソコンに備え付けられているGPUよりも、数段高性能なGPUが搭載されています。そのため、重い映像処理でも相応のサポート力を発揮してくれます。「3DのPCゲームをやりたい」「Blenderなどで映像を作りたい」という方は、このグラフィックボードが必要になってきます。
グラフィックボードごとの特徴
グラフィックボードは、さまざまな企業がさまざまな種類のものを販売しています。初めてグラフィックボードを購入する方は、種類が多すぎてどれを選べば良いのかわからないということも少なくありません。
グラフィックボードにおいて一番大切なのは、グラフィックボードの頭脳である「GPU」です。グラフィックボード自体の種類は多いですが、GPU自体の種類はそう多くはありません。
また、GPUが同じであれば、別メーカーの提供する別種のグラフィックボードでも性能に大きな違いは現れません。つまり、グラフィックボードは、搭載されているGPUの種類で分類できるということです。
GPUメーカーの技術競争はとても激しく、昔は数多くあったGPUも今ではほとんどなくなってしまい、現在市場に出回っているGPUのほとんどが「NVIDIA」と「AMD」の2社のどちらかが作ったものとなっています。よって、グラフィックボードを選ぶ際は、この2社のどちらのものかを重要する必要があるわけです。
では、NVIDIA社の開発する「GeForce」と、AMD社の開発する「RADEON」の特徴をそれぞれ解説していきましょう。
NVIDIAの「GeForce」
GeForceの特徴は、なんと言ってもその圧倒的なシェアです。現在、グラフィックボードはNVIDIA社の開発したGPUを搭載したものか、AMD社の開発したGPUを搭載したものかしか出回っていないとお伝えしました。しかし、この2社の普及率が拮抗しているというわけではなく、GeForceの方が多くの割合の人々に利用されています。
どの分野においても高性能と言える数値であり、特にゲームの分野においては2D、3Dどちらのジャンルでも突出した性能を誇っています。特性上、ゲーム開発に用いられることが多いGPUであるため、開発環境とプレイ環境を合わせて不具合を減らすという意味でもおすすめされることが多いGPUです。
グラフィックボードを購入する方の多くは、3D制作だけでなく、高品質なゲームをするためにも欲しいと思っていることが多いものです。GeForceは、そういった方々に対して、ベストな選択肢だと言えるGPUでしょう。
AMDの「RADEON」
RADEONは、以前ATI Technologiesという会社に開発されていたGPUですが、2006年にAMDに会社が買収し、開発の幅が広がったとされています。
RADEONも市場に一定の割合で出回っており、多くの方々に愛されているGPUです。特徴は、GeForceよりも性能に対しての価格が安いことと、GeForceと映像や3Dの処理が異なり、GeForceよりも映像関連の制作に向いているとされていることです(賛否あります)。
自分の作りたい作品がはっきりしており、その映像処理にはRADEONが向いているという方や、ゲームなどには興味がなく、とにかく制作のためだけにグラフィックボードを活用させたい方などにおすすめだと言えるでしょう。
Blender(ブレンダー)でのGPUの役割
Blender(ブレンダー)は3DCGモデリングソフトであるため、GPUの性能もそれなりのものを求められると考えられがちです。しかし、実際はBlenderは製作途中のシンプルなデータを扱うことが多いこともあり、難しい映像処理を行う場面というのはほとんどありません。3Dゲームなどと比べれば、圧倒的に低いGPU性能でも十分に機能します。
しかし、そんなBlenderでも高いGPU性能を求める処理が一つだけあります。それが「レンダリング」です。
GPUを一番必要とするのはレンダリング
レンダリングとは、設置した3Dのオブジェクトや背景、光や空気などを「これが現実ならどのように見えるか」という基準で計算し、表現する工程のことです。
3Dの映像制作風景を見たことのある方なら、色のない世界で動く粘土のようなものを見たことがあるかもしれませんね。あれはレンダリング前の3D映像であり、レンダリングで色や光などを与えることによって、粘土ではなく実際の人物やオブジェクトに見えるようになるわけです。
このレンダリングの計算にはCPUを用いることもできますが、GPUで計算を行うほうが処理が早く、パソコンの負担も少ないとされています。レンダリングは、GPUの性能が高いほど早く処理することができ、エラーも起きにくくなります。
簡単なデータのレンダリングなら気にすることはありませんが、例えば長編映像作品などであればGPUの性能が低いと、現実的な不可能なほどに時間がかかってしまいます。
さらに、そういった作品は細かい作り直しなどで何度もレンダリングし直すことも珍しくありません。そうなると、少しでもレンダリングを早く確実に行う必要が生まれ、GPUの性能が高ければ高いほど良いとなるわけです。
Blender(ブレンダー)でのGPUレンダリングのやり方
では、実際にBlender(ブレンダー)でレンダリングする際の手順を確認してみましょう。
基本的なレンダリング方法
レンダリングの設定を行う際には、右のプロパティタブから「レンダープロパティ」をクリックすると、レンダーエンジンの選択含め各種レンダリング数値の変更が可能となります。
設定を済ませたら、トップバーの「レンダー」をクリックし、「画像をレンダリング」を選択することで画像を、「アニメーションレンダリング」を選択することで映像をレンダリングすることができます
レンダリングの手順
加えて、レンダリングにGPUを使用する方法を解説しましょう。
GPUを使用する準備を行う
レンダリングにGPUを使用するためには、プリファレンスから「システム」→「CODA」とクリックし、そこに表れるGPU一覧から使用したいものを選択し、保存します。
演算をGPUにする
さらに、レンダープロパティからデバイスを「GPU演算」に変更すれば準備完了です。あとは、通常通りレンダリングを開始すれば、CPUの代わりにGPUを使って計算してくれます。
GPUレンダリングとCPUレンダリングの比較
CPUにRyzen7 2700X、GPUにGTX1060 6GBを使用した場合の検証結果ですが、
- CPUのみのレンダリングでタイルが32×32の場合:所要時間は15分程度
- GPUのみのレンダリングでタイルが256×256の場合:所要時間は11分~12分
となるようです。さらに、設定によってはCPUとGPUを同時使用し、さらに時間を短縮する方法もあるようですが、どちらかを選択するのであれば、明らかにGPUでのレンダリングが速いことが見て取れます。
Render Poolは高品質なGPUレンダリングが可能
長編映像作品など、大きなデータのレンダリングには高性能なGPUはほぼ必須となりますが、逆に言うと、高性能で高額なグラフィックボードは3D作品を作る上ではレンダリングにしかほぼ使用しないということでもあります。レンダリングは、3D作品を作る上で必ず行うことになるものですが、そのためだけに何万円もするパーツを購入するのは気が引ける、またノートPCなどを使用しておりグラフィックボードの増設が難しいという方もたくさんいらっしゃるでしょう。
そんな方におすすめなのが、当社のクラウドレンダリングサービスの「Render Pool(レンダープール)」です。
クラウドレンダリングサービスとは、簡単に言うとレンダリングを代わりにやってくれるサービスのことで、これを利用すれば自分のパソコンの性能はまったくレンダリングに影響しないため、グラフィックボードを増設する必要がなくなります。
また、Render Poolは高性能なグラフィックボードを複数枚積んだサーバーを使用してクラウドレンダリングを行うため、個人レベルのPCよりも圧倒的に早くレンダリングを完了することができます。利用料金も1分につき3円~6円と低価格を実現しています。詳しくは、こちらからチェックしてみてください。
まとめ
GPUは、PCの映像を処理するための中核的パーツです。Blender(ブレンダー)では、特にレンダリングにおいて役に立ちます。
レンダリングのためだけに高額なGPUを購入したくない方は、当社の「Render Pool(レンダープール)」のご利用を検討してみてください。