
【2025】Blenderでのオブジェクト複製方法|Shift+DとAlt+Dの使い方
Blenderでモデリングを始めると、すぐに「同じ形を何度も作らなければならない」という場面に直面します。
「家具を作っているときに、椅子の脚を4本並べたい」「建物を作っていて、窓をいくつも配置したい」「キャラクターにアクセサリーを複数つけたい」そんなときに一つずつゼロから作っていたら、時間がいくらあっても足りません。
多くの初心者は、まずShift+Dによる複製を覚えます。Shift+Dはとても便利で簡単ですが、数が増えるとファイルが重くなったり、後からまとめて修正したいときに作業が大変になったりすることがあります。
そこで役立つのがAlt+Dです。Alt+Dを使えば、複数のオブジェクトを一度に管理しながら編集を反映できるため、建築物の柱や家具の脚のように同じ形を繰り返し配置する場面で大きな威力を発揮します。
今回は、Blender初心者がつまずきやすい「複製」の基本から、Shift+DとAlt+Dの違い、使い分けのコツ、応用的なテクニック、その他の複製方法までをわかりやすく解説します。読み終えたときには、複製操作がスムーズになり、作業効率を飛躍的に高められるはずです。
Blenderでの複製の基本
Blenderには大きく2つの複製方法があります。
- Shift+D:独立したコピーを作る方法
- Alt+D:メッシュデータを共有したまま個体を増やす方法
例えるなら、Shift+Dは「Wordファイルをコピーして別名保存」、Alt+Dは「Googleドキュメントを共有」するイメージです。まずはこの2つの違いを押さえることで、どちらを選ぶべきか迷わず判断できるようになります。
Shift+D(通常複製):基本のコピー
Shift+Dは、Blenderの基本中の基本といえる複製方法です。初心者が最初に覚える操作であり、独立したオブジェクトを作るのに向いています。
特徴とメリット
Shift+Dで作られたオブジェクトは、完全に独立したメッシュを持ちます。つまり、一方を編集しても他方には影響がありません。色や質感、モディファイアも自由に変えることができ、バリエーション違いを作る際に便利です。
例えるなら「文書ファイルをコピーして別名保存したもの」です。コピーした後は、それぞれを独立して編集できます。片方の文章を修正しても、もう片方のファイルには一切影響しません。だからこそ、個別にアレンジや差分を作りたいときにShift+Dは便利です。
基本操作手順
- 複製したいオブジェクトを選択します。
- Shift+Dを押します。
- そのままマウスを動かすと移動できます。右クリックで移動をキャンセルすると元の場所に固定できます。
- Enterまたは左クリックで確定します。
初心者がよく混乱するのは「Shift+Dを押した瞬間に移動モードになる」という点です。
意図せずオブジェクトがズレることがあるので、位置をキャンセルしたいときは右クリックで元に戻すことを覚えておくと安心です。
注意点
独立したオブジェクトを大量に増やすと、ファイルサイズが大きくなり、動作が重くなる可能性があります。小物の量産など規模が大きくなる場面では、他の複製方法(後述)を組み合わせるのが効率的です。
Alt+D(リンク複製):効率化の要
Alt+Dは、形状データを共有したコピーを作る方法です。見た目はShift+Dと同じようにオブジェクトがコピーされますが、中身のデータは互いに共有されています。そのため、一方を編集すると他のコピーすべてに編集内容が反映されます。
特徴とメリット
Alt+Dで作られたコピーは、オブジェクトモードでの位置や回転、拡大縮小といった配置は独立して調整できますが、エディットモードで形状を変えるとすべてのコピーに反映されます。これにより、同じ形を大量に配置しながら、一括で修正を加えることができます。
さらに、データ量が増えにくいため、シーンが軽く保たれるのも利点です。先ほどの例えでいうなら、こちらは「Googleドキュメントを共有している状態」です。どのユーザーが修正しても、その変更は同じファイルを使っている全員に即座に反映されます。場所や使い方は個別にできますが、文書そのものは常に共通。これがAlt+Dの強みです。
基本操作手順
- 複製したいオブジェクトを選択します。
- Alt+Dを押します。
- 移動や回転、拡大縮小を行って配置します。
- どれか一つをEditモードで編集すると、他のAlt+Dコピーも同じ形に変わります。
アウトライナーで確認すると、Alt+Dで作ったコピーは同じメッシュデータを参照していることがわかります。これがShift+Dとの最大の違いです。
活用シーン
椅子の脚や窓枠、柱など、同じ形状を大量に使う場面で特に役立ちます。試行錯誤が必要な段階で配置しておき、後から形を直しても全体に反映されるため、作業スピードが大幅に上がります。
Blenderの複製の使い分け:Shift+DとAlt+Dの違い
Blenderの複製を選ぶときのポイントは、独立させたいか、共有させたいかです。Shift+Dは個別にカスタマイズしたいときに有効で、Alt+Dは形状をまとめて管理したいときに適しています。大量配置か、個性を持たせたいかで判断しましょう。
Shift+Dは「別名保存したWordファイル」、Alt+Dは「共有Googleドキュメント」です。Wordファイルならそれぞれ自由に修正できますが、Googleドキュメントなら全員の修正が反映されます。これが両者の最も大きな違いです。
Blenderの複製の応用テクニック
基本の複製だけでなく、他の機能と組み合わせることでさらに効率が高まります。
コレクションでの複製
細かいパーツをコレクションでまとめ、コレクションをアウトライナーから右クリックして複製すると管理がしやすくなります。シーン全体の把握もしやすくなり、再配置も効率的です。ショートカットは使えませんが、コレクションの複製は、通常の複製(Shift+D)とリンク複製(Alt+D)の考え方に沿って使い分けられます。
配列モディファイアとの使い分け
規則正しい並びは配列モディファイアを使い、ランダム性や一部の変更が必要なときはShift+DとAlt+Dを併用します。自動で連番ページを生成するのが配列モディファイア、ページを一つずつ複製して個別編集するのがShift+D、共有テンプレート文書の内容を更新すると全ページに一括反映されるのがAlt+Dです。
リンクを解除して独立化
制作の終盤では、Alt+Dで増やしたオブジェクトの一部を独立化して個々で編集したいと思うことがあります。画面上部のメニュータブ>オブジェクト>関係>シングルユーザー化を使えば、共有状態を解いて個別に編集できます。
初心者が覚えるショートカットとワークフロー
Shift+DとAlt+Dに加えて、複製直後にGで移動、Rで回転、Sで拡大縮小を組み合わせると効率が上がります。軸指定や数値入力で正確に配置することも可能です。流れとしては基準形を決める、Alt+Dで量産、必要な部分だけ独立化という順番が基本のワークフローです。
Blenderの複製でよくある疑問
ここでは、初心者がよくつまずく場面をQ&A形式で解説します。
編集が全部に反映されてしまう
Alt+Dのリンク複製を使っていると、形状編集はすべてに反映されます。独立させたい場合はシングルユーザー化でリンクを解除するか、最初からShift+Dを使いましょう。
一部だけ色や質感を変えたい
マテリアルをシングルユーザー化すれば個別に色を変えられます。どのデータをシングルユーザー化させるのかによって使い分けましょう。
Alt+Dのまま一部の形だけ変えたい
Alt+Dはメッシュを共有しているため、Alt+Dのまま個別のオブジェクトの形状を変えることはできません。特定の一体だけ形状を変えたいときは、対象をシングルユーザー化で独立化してから編集します。全体の編集を終えた後、差分が必要な個体だけを独立化するのが安全です。
Shift+DとAlt+Dを間違えて使ったときは?
アウトライナーやプロパティを確認すると、同じメッシュを参照しているかどうかがわかります。意図と違っていた場合は、シングルユーザー化で修正できます。
複製方法を混在させても大丈夫?
問題ありません。実際の制作ではShift+DとAlt+Dを組み合わせることが多いです。大量に並べたいときはAlt+D、最後の仕上げで細部に変化を加えるときはShift+D、と使い分けるのが効率的です。
Alt+Dでモディファイアやマテリアルは共有される?
Alt+Dはメッシュデータを共有しますが、モディファイアやトランスフォーム、オブジェクトレベルのマテリアル割り当ては基本的にオブジェクト単位で扱えます。つまり、形状は共有しながら、見た目や配置は個体ごとに変えられます。必要に応じてマテリアルだけをシングルユーザー化すれば、色違いを素早く作れます。
その他の複製方法(概要のみ)
Blenderでの複製方法は、Shift+DとAlt+D以外にもあります。最後に、簡単に概要のみ紹介します。
配列(Array)モディファイア
等間隔で並べるときに使えます。柵やタイルなどの規則的配置に最適です。
ミラーモディファイア
左右対称のモデリングに使えます。キャラクターの腕や足などを効率的に作成できます。
パーティクルによる複製
自然物をランダムに散らすときに便利です。髪や芝生や岩などを一度に配置できます。
コレクションインスタンス
部品をまとめたコレクションをシーン内で複製配置できます。大規模シーンで役立ちます。
ジオメトリノード
高度な複製や配置をノードベースで制御できます。複雑なパターンや大量配置に対応できます。
まとめ
Shift+Dは独立した複製、Alt+Dは共有する複製です。まずはこの違いを理解することが出発点です。設計段階や大量配置ではAlt+Dで効率化し、仕上げではShift+Dで個別調整。配列やインスタンス、ジオメトリノードなどを組み合わせればさらに作業の幅が広がります。複製を正しく使い分けることで、Blender作業は大きくスピードアップします。