
【2022】Blender(ブレンダー)でのレンダリングのやり方は?手順・設定項目を解説
Blender(ブレンダー)を初めて使用する方にとって、レンダリングは非常に難易度の高い工程です。
せっかく作成したモデルも、レンダリングの設定がうまくいっていなければ、質の低いアウトプットができてしまいます。
また、「そもそも、レンダリングのやり方がわからない」「画質設定の方法がわからない」「どのレンダラーを使用すべきかわからない」など、悩みは人によってさまざまでしょう。
本記事では、レンダリングの概要からBlenderでレンダリングする際の事前知識、主要レンダラーによるレンダリングのやり方など、初心者〜中級者の方であれば知っておいて欲しい内容を紹介します。
Blenderでレンダリングを始めたばかりの方は、ぜひ参考にしてみてください。
レンダリングとは
レンダリングとは、コンピュータ上のデータを人間が視覚的に判断できる状態に変換して画像・音声・映像・文字などをアウトプットすることです。
もちろん、3Dモデリングでもレンダリングという用語が使われますが、何も3DCG業界特有の話ではありません。
たとえば、HTMLで書かれた文字列、ピクセルで構成された画像、コンピュータで作成したイラストレーション。これらの表現は、レンダリング技術のおかげで認識できるといっても間違いありません。
Blender(ブレンダー)でのレンダリングの事前チェック・設定項目
Blender(ブレンダー)でレンダリングを行う際、事前にチェックしておきたい項目があります。
ここで紹介する項目を満たしていなければ、質の高いレンダリングは不可能と言っても過言ではありません。
- PCスペックを満たしているか
- GPUレンダリングがオンになっているか
- ノイズ設定が適切か
- カラーマネジメントは適切か
- 出力する解像度に問題はないか
それぞれの項目を確認しながら、これ以降を読み進めていってください。
PCスペックを満たしているか
レンダリングを行う場合、PCのスペックが重要になります。
Blenderでは、「最低スペック」「推奨スペック」「最高スペック」と3つに分けてスペックが紹介されています。
Blenderホームページに記載されているスペックは、次のとおりです。
最低スペック
- OS:64bit
- CPU:2コア 2GHz以上
- メモリ:4GB RAM
- ディスプレイ:1280×720
- デバイス:マウス、トラックパッド、またはペン+タブレット
- グラフィックカード:1GBのRAM、OpenGL3.3を搭載したグラフィックカード
推奨スペック
- OS:64bit
- CPU:4コア以上
- メモリ:16GB RAM
- ディスプレイ:1920×1080
- デバイス:3ボタンマウスまたはペン+タブレット
- グラフィックカード:4GBのRAMを搭載したグラフィックカード
最高スペック
- OS:64bit
- CPU:8コア以上
- メモリ:32GB RAM
- ディスプレイ:1920×1080
- デバイス:3ボタンマウスとペン+タブレット
- グラフィックカード:12GBのRAMを搭載したグラフィックカード
Blenderを趣味程度に楽しむなら、最低スペックのPCでも問題ありません。とはいえ、推奨スペック程度のものを購入しておくと汎用性が高く、趣味からビジネスに移行しやすいでしょう。
GPUレンダリングがオンになっているか
パソコンのスペックを確認した後、Blenderの設定において「GPUレンダリング」がオンになっているかを確認しましょう。
デフォルトではGPUレンダリングがオフになっており、GPUを積んでいるPCでレンダリングする際も性能を発揮してくれません。
自身のPCにGPUが積まれているかわからない方も、一度設定から確認しておくことをおすすめします。
具体的な設定方法は次のとおりです。
- 「プリファレンス」の「システム」をクリックする
- レンダリングに使用するGPUを選択する(ない場合は表示されません)
使用できるGPU以外は選択できないようになっているため、パソコンが苦手な方でも操作方法は簡単です。
また、レンダープロパティの上部にある「デバイス」からGPU演算が選択できるようになるため、こちらも事前に変更しておきましょう。
ノイズ設定が適切か
Blenderには、ノイズを軽減する機能として「デノイズ」「サンプリング」が用意されています。
これらを駆使することでレンダリングの際に画像に出る粗い粒子のようなものを解消できるため、事前に調整しておきましょう。
具体的には、サンプリング内に含まれている「レンダー」と「ビューポート」のパラメーターでサンプリングの設定が可能です。
こちらを調整するだけでも、荒い粒が少しずつ消えていきます。
また、レンダーエンジン「Cycles」でレンダリングを進める場合、デノイザー設定が可能となります。
デノイズから「レンダー」を「OpenimageDenoise」に変更すれば、より多くのノイズを除去してくれるでしょう。
もちろん、大量のノイズを消去するにはパソコンに大きな負荷がかかります。
そのため、レンダリング の時間が長くなってしまうことは理解しておきましょう。
カラーマネジメントは適切か
カラーマネジメントは、厳密には画像の画素自体をきれいにする行為ではありませんが、見栄えを美しくするため、重要な設定ポイントです。
カラーマネジメントは、「Scene」設定のサイドメニュー下部から設定できます。
「Scene」ではさまざまな設定ができますが、最もわかりやすい「ルック」の設定をいじってみると、デフォルトの画像が変化します。
ルックでは、コントラストをいじることが可能です。
少しいじるだけでレンダリングの精度を大きく変えられるはずです。
その他項目も、実際に触りながらレンダリングへの影響を確認してみると良いでしょう。
出力する解像度に問題はないか
レンダリングの精度を上げる最も重要な要素が解像度です。
解像度は「出力プロパティ」から変更可能で、解像度「X」「Y」「%」の項目が設定可能となります。
Blenderでのレンダリングの事前知識
Blenderでレンダリングする際には、事前知識としてレンダラーへの理解が必須です。
ここでは、ソフトに付属している主要レンダラーと、有名な外部レンダラーについて紹介します。
ソフト付属レンダラー
ソフト付属レンダラーとは、Blenderをダウンロードしたときにデフォルトで付属しているレンダラーです。
つまり、追加料金なしの無料で利用できるということです。
もちろん、有料のレンダラーに劣る部分もありますが、制作でまったく使えないレンダラーというわけではありません。
まったく問題ないどころか、有料レンダラーに引けを取らない機能を備えているため、それぞれのレンダラーの特徴等を事前に確認しておきましょう。
Eevee
Eeveeは「ラスタライズ法」と呼ばれるレンダリング手法を用いるレンダラーです。
ゲーム等で使用されるようなシンプルなグラフィックに向いているレンダラーとなります。
基本的には高速でレンダリングでき、カメラが捉えたモデルのみを描画していきます。
また、光の反射などを計算しないことも特徴です。
つまり、他のリアルなレンダラーと比較すると、リアリティにかけてしまうということです。
しかし、その分素早くレンダリングできることは特徴なので、モデルの状態を確認する際にはEeveeを活用すると良いでしょう。
また、描画時間が短いというメリットを活かして、動画のレンダリングで主に用いられます。
Cycles
Cyclesは、「レイトレーシング法」によってレンダリングを行います。
レイトレーシングはリアリティのある描画を得意とする手法のため、高画質の画像としてレンダリングする際に向いています。
レイトレーシングの仕組みは、「カメラから光源までの光線(レイ)を追いかけ、その反射や透過によってピクセルの描画を行うのです。
レンダリングの際は、光線を何度も追いかけながらモデルの色やテクスチャを確認していきます。
つまり、レイトレーシングでレンダリングする場合、ラスタライズ法のEeveeに比べて、レンダリングに時間がかかることを理解しておきましょう。
OpenGL
Open GLレンダリングは、3Dビューに写っている情報をそのままレンダリングできる機能です。
Blenderでレンダリングを行う場合、通常はカメラがある角度からの撮影となりますが、カメラ・証明の有無に限らずレンダリング画像を作成できます。
また、光の計算などは行わないため、その分レンダリングにかかる時間を抑えられる点も魅力となっています。
加えて、より直感的な操作が可能なため、レンダリングをするとどのような結果が得られるか、おおよそ把握したいときに用いることができるでしょう。
主要な外部レンダラー
外部レンダラーは、Blenderと連携してレンダリングできます。
デフォルトで用意されているEeveeやCyclesなどよりも得られるレンダリングの質が高い傾向にあります。
また、有料でダウンロードできるものも用意されており、それらの機能を利用するとより質の高いレンダリングができます。
ただし、PCのスペックに依存してしまうため、注意が必要です。
ここでは主な外部レンダラーを2つ紹介します。
Radeon ProRender
Radeon ProRenderは、グラフィックボードで有名な「Radeon」が発売しているレンダラーです。
NVIDIA社のGeForceなどと並んで有名なメーカーであり、ゲームをする人なら誰でも知っているメーカーです。
こちらは高性能ながら無料でダウンロードできるため、下のページからダウンロードしてみると良いでしょう。
また、自身のPCではスペックがもたないという場合、「クラウドレンダリング」を利用する方法もあります。
気になる方は、下のページを参考にしてみてください。
Indigo Renderer
Indigo Rendererは、フォトリアルなレンダリングを可能にするレンダラーです。
光の軌道を物理計算することで、よりリアルな仕上がりになります。
実際にIndigo Rendererのホームページをご覧いただければわかりますが、そこに実際に家が建っているような画像を作成できます。
ライセンスを取得するにはそれなりの費用がかかりますが、より精密なレンダリングを必要とする場合には、購入を検討してみると良いでしょう。
レンダリングの前準備
ここでは、レンダリングを行う際の事前準備を紹介します。
モデルの設定
モデルが完成したら、モデルのテクスチャやマテリアルなどを設定し、レンダリング用の素材に変えていきます。
モデルのサイズもそうですが、モデルをメッシュで作成している場合には、滑らかな表面に見えないこともあります。
その際は、シェーディングツールを使用してエッジを慣らしてあげましょう。
ワールドの設定
ワールドメニューでは、サンプリング方式を変更できます。
サンプリング数を増やすほどレンダリングにかかる時間が長くなり、アウトプットされるモデルの質は上がるため、自身のPCスペックと照らし合わせて最適なサンプリング数に設定しましょう。
レンダーの設定
解像度の設定を行います。「X」「Y」「%」の設定が可能なため、求めるクオリティに合わせて最適な解像度を設定しましょう。
Eeveeによるレンダリングのやり方
続いては、Eeveeにおけるレンダリングのやり方について3つのステップで紹介します。
ステップ①:レンダリングの準備
Eeveeの場合、カメラに写るモデルのみレンダリングの対象となるため、カメラを見えやすい位置に移動し、モデルも合わせて移動しましょう。
ステップ②:マテリアルのシェーダーノードを選択
シェーダーノードからマテリアルを作成する必要があります。
新規をクリックし、新たなマテリアルを作成します。
ステップ③:レンダリング
実際にレンダリングを行ってみましょう。
通常、マテリアルの場合はそのままレンダリングを行えば良いのですが、透明マテリアルなどの場合は、サーフェスの中の「伝播」の値を「0」から「1」に変更しましょう。
また、金属などのマテリアルによって値が設定されているため、触りながらよりイメージに近い状態を目指していくと、求めるレンダリングができますよ。
Cyclesによるレンダリングのやり方
続いて、Cyclesによるレンダリングのやり方について解説していきます。
ステップ①:レンダリングの準備
Cyclesの場合、グラフィックボードを使用したレンダリングが可能です。そのため、自身のPCにグラフィックボードが積まれているなら、レンダリングでグラフィックボードを使用しましょう。そうすることで、レンダリング時間を大幅に短縮できます。
ステップ②:レンダリングの設定
レンダリングの質を決める「レンダー」値を設定しましょう。
この値を大きくすればするほどレンダリングの質は上がり、時間がかかります。
一般的にきれいとされるレンダーの値は128程度と言われているため、迷ったらこちらの値を入力するのがおすすめです。
また「適応サンプリング」のチェックマークを入れておくと、レンダリングの際に不要な値を自動的に下げてきくれるため、おすすめです。
ステップ③:レンダリング
トップバーにある「レンダー」の中の「画像をレンダリング」をクリックすることで、レンダリングが開始します。
一般的なレンダリングを行う場合、上記項目をクリックするだけで問題ありませんが、モデルが複雑な場合はノードの中にある伝播、粗さ、IORなど設定し直すことでモデルの質を改善できます。
まとめ
Blender(ブレンダー)でのレンダリングのやり方について解説しました。
基本的には、「Eevee」と「Cycles」でレンダリングを行うこととなります。
これらのレンダーでもまったく問題なくレンダリングできるため、今回お伝えしたの内容を参考に、レンダリングを実際にやってみてください。
また、レンダリングに時間がかることを問題視しているなら、当社モルゲンロットが提供している「Render Pool」を活用してみてはいかがでしょうか?
1分あたり6円の低コストで、高品質・ハイスピードな高画質レンダリングを可能にしています。
また、どれくらいの時間を要するかが事前にわかり、前払い式のプリペイド支払いとなるため、レンダリング後に巨額の請求をされることはありません。
レンダリングをより快適にできるはずですので、ぜひ、Render Poolの利用を検討してみてください。