【2022】3Dモデリングでの「レンダリング」の種類は?課題と解決方法


by Render Pool

9月 24, 2021

3D製作をしている方は、「レンダリング」ということばをよく耳にすることでしょう。

とはいえ、「レンダリングって具体的にどういう意味?」「どんなレンダリングの種類がある?」といった疑問を投げかけられたとき、返答に困るのではないでしょうか?

そこで今回は、レンダリングについて詳しく解説します。

レンダリングの5種類について深く掘り下げて解説するので、レンダリングの種類が知りたい方はぜひ最後までご覧ください。

レンダリングとは

3Dソフトにおけるレンダリングとは、3Dデータに対して「質感(マテリアル)」「模様(テクスチャ)」「光(シェーディング)」「色味」などを計算し、最終的なイメージのクオリティを上げる作業のことを意味します。

このレンダリングを行う際には、ソフト上で3Dデータを読み込み計算を行い、その後読み込んだデータに対して計算式をもとに視覚的に表示するのです。

つまり、コンピュータが認識できるデータを、人間が視覚的にわかるよう表示し直す、いわば翻訳のような仕組みなのです。

レンダリングの種類は5つ

レンダリングは、計算方式の種類の違いによって5つの種類に分かれます。

  • レイトレーシング(Ray tracing)
  • ラジオシティ(Radiosity)
  • スキャンライン(Scanline rendering)
  • Zバッファ法(Z-buffer)
  • トゥーンレンダリング(Cel-shading)

それぞれのレンダリング方式をうまく使い分けることで、目的に沿ったレンダリングを実現することが可能です。

しかし、正しいレンダリングの方式を取らないと、せっかくできた3Dデータのクオリティが下がってしまうこともあります。

正しい方式でレンダリングができるためには、5種類のレンダリングについて詳しく理解しておくことが重要です。

レイトレーシング(Ray tracing)

レイトレーシングは、光の屈折と反射を計算して、画面に反映させる方式のことで、現在の環境でもっとも多く使用されているレンダリングです。

光を現実世界さながらにシミュレーションして表示するので、リアリティ溢れる画面を作ることができるのです。

レイトレーシングを使用することで、高品質なレンダリングが可能となります。

レイトレーシングはリアルに表現できる特性から、グラフィックスのリアリティを求められるゲームで使用されることが多いです。

ただし、レイトレーシングには欠点もあります。

リアルな反面、形状数・反射・投下・屈折・散乱などの光による現象が多いモデルに関しては、レンダリングに非常に時間がかかってしまいます。

ラジオシティ(Radiosity)

ラジオシティは、物質表面の反射を計算することで証明が使われていない部分において、ぼんやりと見える様子を再現できるレンダリング方式です。

光源からの光が物質に反射する効果を熱学的に計算して表示します。

このような説明をすると、レイトレーシングとほとんど同じように感じるかもしれません。

しかし、実際のところレイトレーシングとラジオシティには大きな違いがあります。

  • レイトレーシング:光源から直接物質に当たる光だけを計算している
  • ラジオシティ:光源から直接物質に当たって乱反射する間接光も計算している

たとえば、青い壁紙の部屋をレンダリングしたときに、レイトレーシングの場合には壁紙が青く表現されるだけで、部屋全体には青色のシェーディングが表現されません。

ところが、ラジオシティの場合には青色の壁紙に反射した青色の光においてもしっかりと再現されるので、より現実に近い画面を作ることが可能なのです。

ただ、レイトレーシングと比較してより計算式が複雑になるので、レイトレーシング以上に計算にかかる時間が長い点はデメリットといえます。

スキャンライン(Scanline rendering)

スクリーンを奥から一行ごとに分割し、計算・レンダリングする方式のことです。

このレンダリング方式においては、横1列(スキャンライン)ごとに計算を行います。

光の屈折などを計算せずに表現しようとするので、品質はレイトレーシングやラジオシティと比べて劣る場合が多いです。

ただし、素早くレンダリングができるというメリットがあるので、仮データを相手に見せる場合にはスキャンライン法でも問題ないことが多いでしょう。

また、立体感を出す手法である「フォンシェーディング」を活用してモデルを作成すれば、スキャンラインでも高クオリティのレンダリングを行うことが可能です。

Zバッファ法(Z-buffer)

Zバッファ法は、隠れている部分の計算を除外する方法のことです。

各要素ごとに奥行き情報を持たせて、前にあるものだけをレンダリングします。

別名デプスバッファ法(深度バッファ法)とも呼ばれます。

Zバッファ法では後ろの情報を除外しているので、その分コンピュータの計算を高速化できるというメリットがあり、単純なデータであればレイトレーシングなどと比較してはるかに早くレンダリングを終えることが可能です。

ただし、Z値と呼ばれる奥行き情報を保有する必要があるので、メモリを多く使用するというデメリットがあります。

また、半透明のモデルは前後情報が交錯してしまうので、Zバッファ法を利用できないという注意点もあります。

トゥーンレンダリング(Cel-shading)

トゥーンレンダリングは、アニメーションでよく使われるレンダリング方式です。

他の方式が3Dモデルをリアルに表現するため計算しているのに対し、トゥーンレンダリングは3Dデータをいかにも2Dっぽく表現する手法です。

近年のアニメーションでは複雑な動きが取り入れられるようになりました。

その結果、複雑な動きを手書きのセルアニメーションで表現することは難しくなってしまったのです。

そのような場合に、トゥーンレンダリングを使用して、アニメーションを作ると、理想の画を効果的に使うことができます。

近年のアニメーションでは作品全編をトゥーンレンダリングで描写しているものも増えてきています。

レンダリングには3つの課題がある

3Dレンダリングは比較的新しい技術なので、まだまだ課題が残っています。

初めて3Dレンダリングムービーが作成されたのは1972年頃のことだというのですから、まだ技術に課題があるのも納得できます。

現在の3Dレンダリングにおける課題は3つです。

  • スペックが必要
  • 時間がかかる
  • ランニングコストがかかる

それぞれ詳しく解説していきましょう。

スペックが必要

満足のいく3Dレンダリングを行うためには、スペックが重要です。

レンダリングは主にCPUで行われるため、CPUの低いパソコンでレンダリングをすると、高度なレンダリングができません。

スペックの低いPCを使用していると、レンダリングの最中にPCがクラッシュしてしまうこともよくあります。

そのため、スペックの高いPCを持つことは、3Dレンダリングを行うために最低限必要なことなのです。

具体的なスペックに関しては、オープンソースの3DモデリングソフトであるBlenderで最低限のスペックが公開されています。

  • OS:64bit
  • CPU:2コア 2GHz以上
  • メモリ:4GB RAM
  • ディスプレイ:1280×720
  • デバイス:マウス、トラックパッド、ペン+タブレット
  • グラフィックカード:1GBのRAM、OpenGL3.3を搭載したグラフィックカード

こちらのスペックが最低限です。

最低限スペックならば、現行で販売されているPCで事足りますが、より質の高いレンダリングを行うためにはより高度なスペックを必要とするので、初期投資にかかることはレンダリングの課題だといえるでしょう。

時間がかかる

レンダリングには時間がかかります。

特に、面数や光源の位置・数、モデル表面のテクスチャやシェーディングなどが複雑なものは相当時間がかかってしまいます。

レンダリングの時間を短縮する方法はこちらの記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

ランニングコストがかかる

3Dレンダリングをする際にはマシンだけでは性能が追い付かないのが一般的な見解です。

そのため、マシンに加えてサーバーを使用してレンダリングを行うこともごく普通です。

サーバーを使用してレンダリングを行う場合には、さまざまな費用がかかると予想できます。

  • サーバーを構築する費用
  • サーバーを活用する際の電気代
  • 維持するための運用コスト

ランニングコストがかかることはレンダリングの大きな課題だといっても良いでしょう。

満足できるレンダリングをするために

レンダリングには3つの課題があることを紹介しました。

ここでは、課題を解決するための方法を3つ紹介します。

  • 高性能のPCを用意する
  • レンダリングサーバーを導入する
  • クラウドレンダリングを利用する

高性能のPCを用意する

レンダリング最中のクラッシュが気になる場合や、そもそもレンダリングの時間が長い場合にはマシンの性能が低い可能性があります。

そのような場合には高性能のPCを用意しましょう。

参考までにオープンソースのBlenderでモデリングを行う際、最高のものを用意するなら、次のスペックのものを用意することが推奨されています。

  • OS:64bit
  • CPU:8コア以上
  • メモリ:32GB RAM
  • ディスプレイ:1920×1080
  • デバイス:3ボタンマウスとペン+タブレット
  • グラフィックカード:12GBのRAMを搭載したグラフィックカード

他のソフトでも推奨環境が公開されていることがありますので、ご自身のソフトの環境と見合わせて、高いスペックのPC導入をおすすめします。

レンダリングサーバーを導入する

レンダリングサーバーを導入することで、レンダリングを効率化することができます。

レンダリングサーバーとは、簡単にいえば、データ処理作業だけを行うためのパソコンのことです。

パソコン本体とは別にサーバーがあるので、パソコンで編集してサーバーでレンダリングを行うというように、作業を分割することが可能です。

もちろん、PC・サーバーにかかる負担も分割されます。

レンダリングサーバーをうまく活用すれば、パソコンで編集・サーバーでレンダリングを同時に行うことができるので、レンダリングにかかる時間を短縮できます。

ただし、レンダリング用サーバーを構築するためには巨額の初期費用がかかりますので、あまり多くの資金をかけられない個人制作者にとっては構築が難しいです。

クラウドレンダリングサービスを利用する

クラウドレンダリングサービスとは、インターネット上で使用できるレンダリングサービスのことです。

サーバーを構築したときと同じようにレンダリング処理を高速化できる上、サーバー構築の費用がかからないので、非常にコストパフォーマンスの良いサービスとなっています。

クラウドレンダリングを使用することで次のようなメリットがあります。

  • 個人で構築できない高品質のサーバーを使用できる
  • レンダリング中に編集作業ができる
  • 高速でレンダリング処理できる
  • 誰でも簡単に使用できる
  • レンダリングのクオリティがPCスペックに依存しない

中でも高速でレンダリングができるのは魅力的なポイントです。

通常のPCでは3~6時間程度の時間がかかってしまうレンダリング作業は、クラウドレンダリングを使用すると1時間程度で完了します。

モデリングを生業にしている人なら、レンダリング時間もスケジュールに含めなければなりません。

約1/3の時間でレンダリングできるのは大きな魅力ではないでしょうか。

クラウドレンダリングをうまく活用することで、低コスト・高速・高品質のレンダリングが可能です。

まとめ

本記事では、レンダリングの5つの種類について詳しく紹介しました。

  • レイトレーシング(Ray tracing)
  • ラジオシティ(Radiosity)
  • スキャンライン(Scanline rendering)
  • Zバッファ法(Z-buffer)
  • トゥーンレンダリング(Cel-shading)

ご自身の制作内容に合わせてレンダリングを使い分けることで高品質の作品が作れるでしょう。

ただし、レンダリングをする際には注意が必要です。

せっかく作成したデータもPCのスペックとサーバー構築を充実させなければ、完成形が台無しになってしまいます。

そこで推奨したいのは、クラウドレンダリングサービスを利用することです。

うまく利用すれば、PC最低スペック・サーバー構築なしでも高品質なレンダリングが可能です。

特に、当社モルゲンロットのサービスである「Render Pool(レンダープール)」は数あるクラウドレンダリングの中でもコスト・操作性の面で他社よりも優れています。

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