
デザインにおける「レンダリング」とは?デザイナーが持つべき知識とおすすめの方法
映画やアニメーション、ゲーム制作、広告、プロダクトデザインなど、3DCGの活用は多岐に渡ります。
3DCGの制作で欠かせない工程が「レンダリング」です。
デザイナーとして仕事をするためには、編集ソフトを使いこなすスキルだけでなく、レンダリングについての知識も不可欠です。
この記事では、デザイナーが知っておくべきレンダリングの知識について紹介します。
デザイン業界にとってのレンダリングとは
レンダリングとは、複数ファイルの数値データを計算処理によって、一つのファイルとしてまとめる作業のことです。
レンダリングを行う前は、各要素は個別に存在しているため人が知覚できる形に統合する必要があります。
レンダリングを行う目的
レンダリングの内容は分野により異なりますが、動画の場合、映像効果や音声、字幕などの要素を統合する目的で行います。
音楽やWebサイト閲覧、ゲームなどさまざまな分野において、レンダリングは欠かすことができない作業です。
デザイン業界でのレンダリングの活用
パソコンを使った画像や映像制作が一般的になったことで、デザイン業界でもレンダリングは重要な要素になっています。
「レンダリング」と一言で言っても手法はさまざまで、設定によってアウトプットの量と質のバランスは異なります。
求めるアウトプットに合わせて、最適な手法や設定を選択することが求められるのです。
では、どのようにレンダリングを検討する必要があるのか具体的に見ていきましょう。
3DCG
3次元の物体を2次元の画像として描写する3DCGの場合、質感や光の当たり方、光源の数、素材などの情報を追加することで、よりリアルな画像をつくります。
これらの数値データを処理し、1枚の画像にするためにレンダリングが行われます。
高度な編集が行われた3DCGは、計算するデータ量が膨大になります。
処理が多いほどレンダリングには時間がかかるため、求めるアウトプットに応じて編集内容を調整する必要が出てきます。
質を高める場合、より高度な編集を加えなくてはいけませんが、レンダリングにかかる時間は長くなります。
逆に、粒度が粗くても大量のアウトプットが必要な場合は、レンダリングが短時間で終わる手法を選択する必要があります。
プロダクトデザイン
プロダクトデザインの場面でもレンダリングは活用されています。
ハードウェアをつくるには高額な費用がかかるため、3DCGを活用した開発が行われます。
より実物に近い、リアルなアウトプットを得られるレンダリング方法を選ぶことで、開発の精度を高めることが可能です。
広告
3DCGなどのグラフィックは広告にも多用されます。
さらに最近ではAR、VRを使ったコンテンツも増加していることから、リアルタイムレンダリングに関する理解も重要になっています。
レンダリングの手法も進化しているので、仕事で活用する場合は最新情報の把握は欠かせません。
デザイナーが持つべきレンダリングの基礎知識
前章で紹介した通り、デザイナーは、デザイン技術やソフトを使いこなすスキルを高めるだけでなく、レンダリングに関する知識も必要です。
レンダリングが制作コストに大きく影響することが理由の一つ。
そしてレンダリングの手法によって、より希望にマッチしたアウトプットが得られるためです。
レンダリングの種類
レンダリングと一言で言っても、さまざまな種類があります。
一般的なレンダリングは「レイトレーシング」と呼ばれ、実写に近い映像・画像の制作ができます。
よりリアルな表現を求める場合、「ラジオシティ」というレンダリング方法を取ります。
他にも、アニメ風・イラスト風にデフォルメされた「トゥーンレンダリング」や、レイトレーシングよりも高速にレンダリングが可能なものの、影の表現ができないなど欠点もある「スキャンライン」などの手法があります。
各手法にはメリット・デメリットがあり、処理時間やアウトプットの印象も変わります。
デザイナーはこれらの手法の特徴を理解し、最適なものを選択することが必要になるのです。
リアルタイムレンダリングの特徴
リアルタイムレンダリングは、その名の通り即時に・高速に計算処理を行うレンダリング方法です。
リアルタイムレンダリング以外の方法は「プリレンダリング」または「オフラインレンダリング」と呼ばれます。
リアルタイムレンダリングは、処理開始とほぼ同時に画像の解析・生成が可能になるため、オンラインゲームやVRなど、インタラクティブな要素が強いコンテンツに最適です。
また、リアルタイムレンダリングの場合、待ち時間が非常に短いため、編集・確認・修正のプロセスを高速化し、アウトプットのクオリティを上げることが可能になります。
一方で、出力される画像や映像のクオリティはプリレンダリングよりも劣ってしまいます。
そのため、広告など高品質の成果物が求められる場合は、リアルタイムレンダリングは避けたほうが良い場合もあります。
GPUレンダリングとCPUレンダリングの違い
リアルタイムレンダリングでも活用される「GPUレンダリング」とCPUを使ったレンダリングの違いを解説しましょう。
さきほど紹介した「リアルタイムレンダリング」は、GPUによって行われます。
CPUは、コンピュータのあらゆる処理の中枢を担う機能です。高度で複雑な計算が可能ですが、その分処理に時間がかかる欠点があります。
これを補うのがGPUを使ったレンダリングです。
GPUとは、画像描写を行う際に必要な計算処理を実行するプロセッサ(半導体チップ)のことです。
GPUは数千個のコアを持ち、大量の処理を並行して行うのが得意です。CPUの数倍〜100倍以上の計算速度を出すことができます
CPUレンダリングは、より高精度でノイズの少ない描画が可能ですが、そのぶん処理に時間がかかってしまいます。
求めるアウトプットに応じてGPUレンダリングを選択することで、生産性を向上させることが可能になるのです。
レンダリングの最適化でコストを削減
レンダリングは、初期投資とランニング両方のコストがかかります。
そのため、レンダリングを最適化することで、コスト削減や作業効率向上を実現することが可能です。
レンダリングはコストが大きい工程
レンダリングは、膨大な量の計算処理が必要になります。
リアリティのある画像や映像の制作、印象的な効果を加えるほど処理するデータ量が多くなり、レンダリングの時間もかかります。
レンダリングはコストの大きい工程なので、改善することでメリットが得られます。
レンダリング時間を短縮
レンダリング時間を短縮することで、より効率的な作業が可能になります。
レンダリング中はマシンに大きな負荷がかかるため、並行して他の作業を行うことが難しくなります。
限られたリソースをレンダリングに取られると、全体の効率が下がってしまうのです。
よって、レンダリング時間の短縮は業務の効率化に直結するのです。
初期コスト・ランニングコスト抑制
レンダリング速度はCPUやGPUの性能に依存するため、時間短縮のためにはハイスペックなマシンを用意しなくてはなりません。
初期投資はマシンだけではありません。
マシンだけではレンダリングが間に合わないため、サーバを使ったレンダリングを行うケースも多くあります。
この場合、サーバの使用量に応じて電気代や運用費用などのコストが発生します。
利益を生むためには、これらを適切に管理しなくてはなりません。
レンダリングを最適化することで、初期投資とランニング両方のコストを削減することが可能になるのです。
コスト削減にクラウドレンダリングがおすすめ
レンダリングにかかるコストを削減する方法として、取り入れやすいのが「クラウドレンダリング」です。
では、クラウドレンダリングにはどのような特徴があるのでしょうか?
クラウドレンダリングとは
クラウドレンダリングとは、インターネット上のクラウドサーバで行うレンダリングのことです。
通常、自社サーバやマシンで行っていた工程をクラウド化することで、コスト削減や効率的な運用が実現できます。
クラウドレンダリングのメリット
クラウドレンダリングの場合、自分で物理サーバを用意する必要がないため、初期コストを圧縮できます。
また、サーバの電気代や管理する人員のコストも不要になります。
クラウドサーバを使えば、柔軟にリソースを増減できるため、急な受注への対応になり機会損失を防ぐことが可能です。
従量課金制のサービスを利用すれば、より最適な運用も実現できます。
また、レンダリングにはさまざまなソフトウェアを利用しますが、そのためには高額なライセンス費用が発生します。
クラウドレンダリングサービスにはライセンス費用が含まれているため、これらのコストも削減することが可能なのです。
クラウドレンダリングの利用方法
クラウドレンダリングは、「レンダーファーム」と呼ばれるサービスを契約して利用します。
さまざまなレンダーファームがあり、費用やサービス内容もさまざまです。
自社の使い方に合ったレンダーファームを選ぶ必要があります。
まとめ
レンダリングの知識は、デザイナーにとって必須です。
最適なレンダリング手法を選ぶことで多彩な表現が可能になるだけでなく、レンダリングを効率化することによりコスト削減や生産性を向上につながります。
特に、GPUレンダリングやクラウドベースのレンダリングによって、作業を効率化し、より高いアウトプットを得ることが可能になります。
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