【2024】映像編集におけるレンダリングとは?必要な理由・役割・効率化方法
映像制作に欠かせないレンダリング。
リアルな3DCG動画や、高度に編集された映像を制作するためには、レンダリングにかける時間や必要な機器を揃えるコストなどの課題が出てきます。
今回は、映像制作のどのような場面でレンダリングが必要になるかを紹介します。
レンダリングの効率化・省コスト化の方法お伝えしていきましょう。
映像制作にレンダリングが必要な理由
映像制作の中で、特殊効果や音楽、テロップの追加をおこなうケースがほとんど。
これらの追加要素は、レンダリングをおこなわないと一つの動画として確認することができません。
映像の完成後や、制作中のプレビュー確認でもレンダリングは必要になります。
では、レンダリングの具体的な役割を紹介していきましょう。
レンダリングとは?
レンダリングとは、画像や動画に追加した視覚効果や、音声などの要素を統合する工程です。
レンダリングをおこなわないと各要素が独立して存在するだけなので、一つの画像・映像として認識することができません。
編集された画像や動画を、人間が知覚できる形にまとめる作業がレンダリングです。
映像の場合、元のデータに次のような効果を追加して、一つの動画ファイルにまとめることができます。
- 特殊効果
- フィルター
- 字幕
- 音声
映像制作でのレンダリングの目的
映像制作におけるレンダリングとは、映像に追加された効果や音楽、字幕などのデータを一つのファイルにまとめることです。
映像編集は専用のソフトを使っておこないますが、追加した各要素を統合する最終の工程がレンダリングになります。
動画編集ソフトを使うと、効果や音楽などが追加された部分だけレンダリングが実行されます。
レンダリングは大量のデータを処理するため、映像の最初から最後までレンダリングをおこなうと長い時間がかかってしまうためです。
必要な部分だけレンダリングすることで、処理時間を短縮することが可能になります。
プレビューとレンダリングの違い
映像編集中に、効果がどのようにかかっているか確認する機能が「プレビュー」です。
プレビューを使うと、レンダリングなしでも動画として視聴可能になります。
レンダリングは時間がかかる上、その間は作業を進めることができません。
また、編集が修了してからレンダリングをおこない、ミスやイメージと違う部分が発見されれば、再度レンダリングが必要になります。
そのため、編集中にプレビューを活用することで、効率的な映像制作が可能になるのです。
プレビューでレンダリングが必要になることもある
たくさんの効果を追加したり、複雑な処理を伴う編集を加えた場合は、レンダリングが必要になる場合があります。
編集内容を映像に映し出す処理が間に合わず、スローモーションのようになったり止まってしまったりするのです。
プレビュー時にもレンダリングを必須とするソフトもあります。
また、パソコンの性能によってもプレビューで対応可能な範囲が変わってきます。
映像レンダリングの手順
映像制作は専用のソフトを使用します。
レンダリングは編集した画像や映像の仕上げに不可欠な工程なので、ほとんどのソフトにレンダリング機能は標準搭載されています。
「レンダラー」や「レンダリングエンジン」と呼ばれるレンダリングに特化したソフトを利用することも可能です。
映像に音声や効果を追加
映像編集ソフトで、映像に効果を追加します。
効果が正しくかかっているか、イメージと違いがないかを確認するため、適宜プレビュー機能を使って映像の仕上がり具合を確認していきます。
出力設定
編集が完了したら、レンダリングの前に出力設定をおこないます。
- 画質
- 解像度
- インターレースの有無
- 出力形式
- 圧縮形式
- 保存場所
などを設定します。
求める映像の画質や、再生するプレイヤーなどに応じて調整が必要です。
レンダリングの実行
レンダリング自体はマシンがおこなうため、設定が完了したらスタートするだけです。
あとは、レンダリングが完了するまで待つことになります。
レンダリングにかかる時間は処理するデータ量に比例するため、目指す品質が高いほどデータ量は多くなるため時間がかかります。
レンダリング中はCPUに大きな負荷がかかるため、パソコンで他の作業が難しくなるケースがほとんどです。
品質の高い映像を目指すとレンダリングの時間が必要となるため、必要な品質に合わせて設定をおこなう必要があります。
レンダリングの課題
映像編集にレンダリングは不可欠な処理ですが、処理時間やコストなどさまざまな課題があります。
高品質な映像ほどレンダリングに時間がかかる
豊富な効果やリアルな映像を求めるほど、処理するデータが膨大になります。
レンダリングはデータの計算処理によって、一つのファイルに統合する作業です。
そのため、高品質なアウトプットを求めるほど、データ量が多くなり、比例してレンダリング時間が長くなります。
よりリアルで高品質な映像を求めるほど、作業にかかる時間が延びてしまうため、その分のコストが増加します。
品質とコストのトレードオフとなるのです。
ハイスペックなハードウェアが必要
レンダリングのための計算処理速度は、CPUの性能に依存します。
処理速度を上げたり高品質な映像を制作するためには、ハイスペックなマシンを用意する必要があります。
スペックが低い場合、レンダリングに時間がかかり作業効率が落ちたりその間に他の作業ができなくなったりするため、ハードウェアにも一定のコストをかける必要があるのです。
パフォーマンスを向上するためにCPUだけでなく、GPUや外付けHDDなども揃える必要があります。
初期費用・ランニングコストが高額
ここまで紹介したように、高品質な映像を高速でレンダリングしたい場合、大きな初期コストとランニングコストが発生します。
ハイスペックなハードウェアを揃えることは、これから映像制作を始めようとするクリエイターや小規模なチームにとって大きな負担です。
また、PCでは処理しきれない作業を分散するため、レンダリングサーバーを用意することもあります。
CPUがフルに働いている時は電力消費量も大きくなります。
レンダリングをおこなうと、これらのランニング費用も発生するのです。
映像レンダリングを効率化する方法
レンダリングは映像制作に必須だからこそ、さまざまな方法で効率化が図られています。
最近注目が高まっているのが、GPUを使ったレンダリングです。
分散レンダリングをおこなう
分散レンダリング、またはネットワークレンダリングとは、複数のマシン間でレンダリングプロセスを分担する手法になります。
コンピュータネットワークを通じてレンダリングする方法は「レンダーファーム」とも呼ばれ、クラウドベースのレンダリングサービスとして広がっています。
レンダーファームは国内外で多数の会社がサービスを提供しています。
システムや料金制度はサービスによって異なるため、希望する使い方や予算に合わせて選択することをおすすめします。
クラウドベースのレンダリングの場合は、ハードウェアへの初期投資が不要になります。
予算に合わせた利用も可能なので、ランニングコストを管理したい、できるだけ抑えたいという希望にもマッチする方法です。
GPUレンダリングを活用する
GPUレンダリングは、GPU(グラフィックプロセッサー)を使ったレンダリングのことです。
GPUは、主に3Dグラフィックスなどの画像描写をおこなうときに必要な計算処理をおこなう部分です。
GPUは高度な演算性能を持っているので、レンダリングにも活用が広がっています。
CPUレンダリングとGPUレンダリングの違い
CPUレンダリングとGPUレンダリングの違いは、名前の通りレンダリングをCPUベースでおこなっているか、GPUベースでおこなっているかです。
CPUはコンピュータの中枢として、コンピュータ全体の計算処理を担います。
CPUは連続的な計算処理が得意なものの、コア数が数個しかありません。
そのため、複雑な処理は得意であっても、大量の処理には時間がかかるデメリットがあります。
膨大なデータの処理が求められる映像のレンダリングは、処理能力が追いつかない場合が出てくるのです。
そんなときに利用できるのがGPUレンダリングです。
GPUレンダリングは、並列的な計算処理を得意としており、数千個のコアを持っています。
定型的に膨大な計算処理をおこなうことが可能なので、レンダリングに適しているのです。
GPUはCPUに比べて数倍から100倍以上の計算速度を実現することも可能なのです。
GPUレンダリングをおこなうことで高速でレンダリングが可能になり、生産性の向上とコスト抑制両方を達成することができるのです。
GPUレンダリングの欠点
GPUレンダリングを採用する場合、デメリットについても把握しておく必要があります。
CPUレンダリングと比べた欠点として、質が劣る点があります。
CPUを使うと、ノイズが小さい映像の制作が可能になるのです。
時間がかかっても高品質な映像が必要な場合は、CPUレンダリングを選ぶほうが良いでしょう。
まとめ
映像制作において、コストと時間のネックになるレンダリングは検討が不可欠な要素です。
最近ではAIの分野でもGPUが活用されるなど、普及が広がっています。
それにともなって高性能なGPUも登場しているため、今後GPUレンダリング市場は拡大を続けることが予想されます。
GPUレンダリングと相性が良いのが、クラウドベースのレンダリングサービス「レンダーファーム」です。
クラウド上にある無数のGPUを使い、瞬時にレンダリングをおこなうことが可能です。
Morgenrotの「Render Pool(レンダープール)」は従量課金制のレンダーファームなので、予算管理をしながらレンダリングを実行できます。
映像制作に活用してみてください。